更新日: 2024.10.10 家計の見直し
衝動買いや多額の課金がやめられないとき、どうしたらいいですか?
やめたいと思っていてもなかなかやめられない「衝動買い」や「多額の課金」を減らすにはどうすればよいのか、対処法について解説します。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
「意志の力」に頼らない
ついお金を使いすぎてしまうのをやめたいと思ったとき、最も効果が出にくい方法が「次こそ気を付けよう」と決意を新たにすることです。
一見、「がんばろう」という意志が感じられてよさそうに見えますが、人間の意志の力は通常そんなに強くありません。いくら決意したつもりでも、目の前に魅力的な商品が出てきたら「これくらいならなんとか……」「先月はがんばったし……」などお金を使う理由を探してしまうこともあるでしょう。
お金を使うことに限らず、「ダイエットしたい!」と思っていても目の前に大好きな有名店のケーキが出てきたら食べたくなってしまいますし、「勉強しないと!」」と思っていても、友人に誘われたらそっちに行ってしまいたくなるものです。
買い物もゲームもギャンブルも、それをすることで脳が快楽物質を分泌します。その効力は絶大で、意志の力だけではなかなかあらがえないのです。
では、意志の力に頼らず衝動買いをなくすには、どうすればいいのでしょうか。
「衝動買い」がやめられないときの対処法
衝動買いをやめるには、例えば以下のような方法があります。
<衝動買いしてしまう原因をつぶす>
■「欲しくなるきっかけ」との接触を減らす
キラキラしたSNSやおしゃれな雑誌、面白そうなゲーム、さまざまな広告やお店のメルマガ、通販サイト、まわりを見渡せば誘惑ばかりです。このような、購買意欲をそそるものは極力見ないようにしましょう。
暇つぶしに通販サイトを巡る、散歩がてらウィンドウショッピングを楽しむ、それもたまにはよいですが、衝動買いを抑えたいなら必要な物だけをあらかじめリストアップして、それだけを狙って買いに行くのが効果的です。
■ほかに没頭できることを探す
暇だったり満たされない気持ちがあったりすると、そのすきまを埋めるために買い物やゲームなどにのめり込んでしまうことがあります。
それ以外の楽しみやプチぜいたくを探してみましょう。趣味に没頭したり、誰かと会ってたくさんおしゃべりしたり、やりたい仕事や勉強に気力と時間を注ぐのもよいかもしれません。
衝動買いや課金をしたくなったとき、ひと呼吸おいていったん別のことをしてから戻るだけでも頭を冷やすことができ、お金を使わずに済むこともありますよ。
■根本から対策する
もしストレスが原因で、それを発散するためにお金を使ってしまうなら、衝動買いを減らす努力より、まずはそのストレスと向き合ってうまく対処できるようにしたほうが、根本的な解決につながるかもしれません。
また、やめたいのにやめられない……それはもしかしたら「依存症」かもしれません。買い物、ゲーム、ギャンブルなどがやめられないことで日常生活に支障をきたしたり借金を重ねたりしているなら、専門家に相談して治療を受けることも選択肢の1つです。
地域の精神保健福祉センターや保健所のほか、「依存症外来」がある病院などもあります。これらは「依存症対策全国センター」の公式サイトから検索できます。
<衝動買いできない状態にする>
つい衝動買いや課金をしてしまうことで困っているなら、それができない環境に身を置くのがよいということもあります。
■買い物や課金の際にひと手間かける
つい気持ちが高ぶったタイミングで散財してしまった、ということにならないよう、買い物や課金にあえて手間がかかるようにする方法もあります。
最近の通販サイトはワンクリックで買い物できて便利ですが、あえてそれができない設定にしておくと、気分の高まりから購入までのあいだにワンクッションおくことができ、衝動買いを防ぎやすくなります。
「即ポチ」なら買っていた品物も、もし氏名・住所・クレジットカード番号などを毎回いちいち入力する必要があったら面倒で買わないかもしれません。それでも買う物は本当に必要な物でしょう。
ネットショッピングなら、カートに入れてから1日以上寝かせた(よく考えた)うえで購入ボタンを押すようにするのもおすすめです。少し頭を冷やして、本当に買って後悔しないのか、なぜ今それが必要なのか、捨てるときに困らないかなどよく考えてから買いましょう。
その結果あまり使わないものを買ってしまったとしても、衝動買いで後悔するのと、納得したうえで購入して失敗を認めるのとでは、気分も今後への生かしやすさも違います。
■上限を設定してそれ以上買えなくする
毎月予算(使える金額の上限)を決めて、その範囲で収まるように工夫するのもよい方法です。「洋服代は月1万円まで」など、よくお金を使いがちなものに上限を決め、買ったものと金額を都度記録するようにしましょう。
より強力に対策するなら、財布に余分なお金を入れないようにする、クレジットカードや電子マネ―の利用限度額を下げる設定をする(もしくは使えないように解約・退会する)、決められた金額の範囲内でしか利用できないデビットカードやプリペイドカードを使うようにするなど、「もっと買いたくても買えない」状況を自分で作ってしまいましょう。
つい気軽に借金してしまうなら、「貸付自粛制度」を使って、借金できない状態にしておくのもおすすめです。
ちなみに、すでに借金で困っているなら弁護士などに相談して債務整理を行うという方法もあります。自治体の法律相談窓口や法テラス(日本司法支援センター)などで、無料で気軽に相談できる場合もありますので検討してみましょう。
まとめ
多額のお金をつぎこんでいても、自分できちんとコントロールできていて、まわりに迷惑をかけず楽しく過ごせているなら問題ありません。たまに衝動買いをして失敗してしまうことは、誰にでもあることです。
ただ、「やめたいのにやめられない」「お金を使ったあとに後悔と罪悪感が残ってつらい」など困っている場合は、何らかの対策をとったほうがよいでしょう。
意志の力だけでなんとかするのは、かなり難しいです。環境を変える、治療を受けるなど、対策を考えていきましょう。
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表