会社員でも開業できる?副業会社員が開業届を出すメリットと注意点
配信日: 2022.05.24 更新日: 2024.10.10
副業による開業届の提出は義務と されていますが、開業届を出さずに副業しても罰則はありませんし、基本的に税務署から指摘されることもありません。中には開業届の存在すら知らない会社員もいます。
ただし、副業を継続的に行うつもりなら出したほうがよいです。会社員が開業届を出すメリットと注意点について解説します。
執筆者:北川真大(きたがわ まさひろ)
2級ファイナンシャルプランニング技能士・証券外務員一種
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証券外務員一種
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会社員でも開業できる
会社員が開業するのは簡単です。開業届を税務署に提出し、税務署のハンコが押された開業届が返送されてくれば、手続きは完了します。書面で申請する場合は、返信用封筒を忘れないようにしましょう。また、開業届と同時に青色申告承認申請書を提出することもできます。
青色申告承認申請書とは、確定申告を青色申告にて行うことの承認を求める書類です。申告時の要件は厳しくなりますが、後述するメリットがあるので一緒に出したほうがよいでしょう。
会社員が開業届を出して副業をするメリット
会社員が開業届を出して副業をするメリットは2つあります。うち1つ目のメリットは青色申告承認申請書を提出しなければ受けられませんので、注意しましょう。
(1)青色申告すれば特別控除が受けられる
確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。
副業をしていない会社員が何らかの理由で確定申告する場合は白色申告しかできませんが、副業を含めた事業を営んでいる場合や、不動産所得がある場合は青色申告が認められます。
青色申告と白色申告の主な違いは、図表の通りです。
【図表】
青色申告 | 白色申告 | |
---|---|---|
記帳方法 | 複式簿記または簡易簿記 | 簡易簿記 |
青色申告特別控除 | 複式簿記なら55万円or65万円 簡易簿記なら10万円 |
なし |
保存しなければいけない帳簿 | 現金出納帳 売掛帳 買掛帳 経費帳 固定資産台帳 |
法定帳簿 任意帳簿 |
※国税庁の青色申告制度などをもとに筆者が作成
青色申告は白色申告より複雑になりますが、青色申告特別控除のメリットが大きいです。控除は収入から直接差し引けるものなので、仮に年間65万円の収入しかなかった場合、青色申告特別控除で65万円が認められると、所得は0円となり税金は掛かりません。
現在は、会計ソフトで青色申告を行えば、複雑な帳簿を簡単に作成、保存できます。インターネットによる電子確定申告「e-Tax」とも連動しているため、青色申告がおすすめです。
(2)事業用の銀行口座が開設できる
開業届を提出すると、事業所名義の銀行口座が開設できます。事業用に使う銀行口座があれば、個人名義の銀行口座と区別できます。
事業用の銀行口座は、開設義務はありません。ただし、個人名義の銀行口座で事業に関わる取り引きをすると、同じ銀行口座内で個人の取り引きと混在してしまいます。確定申告時に1つひとつ確認する作業が手間になるだけでなく、備品などの購入が事業用の経費になるのか、単なる個人の消費なのか判別しづらいです。
事業用の口座があれば、会計ソフトにそのまま口座の取引情報をアップロードし、確定申告をスムーズに行うこともできます。
開業届を出すときの注意点
開業届を出すメリットは大きいですが、注意点が2つあります。
(1)失業手当が出ない
会社を退職しても、失業手当を受けられません。開業届は個人事業主として事業を行っていることの証明になるため、失業していないことになります。近日中に退職予定があり、まとまった副業収入が見込めない人は、開業届を提出するのは一旦見送ったほうがよいでしょう。
すでに開業届けを提出した人は、廃業届を提出することで、失業手当を受けられる可能性があります。
(2)会社員の副業は事業所得として認められないことがある
開業届は、個人事業主になったことの証明です。仮に青色申告承認申請書と一緒に送付して開業が認められたとしても、会社員の副業が無条件で事業所得と認められるわけではありません。
事業所得は、個人事業主が「事業として」対価を得て行うことで認められます。国税庁によると、「事業として」の定義は、対価を得て行われる資産の譲渡等を繰り返し、継続、かつ、独立して行うことをいいます。つまり、副業が一時的なものとみなされれば、事業所得としては認められません。
事業所得と認めるかどうかは税務署の裁量ですが、仮に認められない場合は雑所得となります。雑所得は青色申告ができないため、青色申告特別控除も受けられません。
すでに青色申告した事業所得に対しても、税務調査で雑所得とみなされると、加算税が課せられます。
副業をしている人は開業届を出して節税しよう
開業届は簡単に手続きできる上に、青色申告承認申請書も同時に送ることで青色申告ができます。
税制上のメリットが大きいので、収入がさほど多くなくても、継続した取り引きであれば青色申告で節税しましょう。
出典
国税庁 [手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2070 青色申告制度
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.6109 事業者が事業として行うものとは
執筆者:北川真大
2級ファイナンシャルプランニング技能士・証券外務員一種