更新日: 2022.06.29 家計の見直し

【家計相談】4人家族です。転職しようと思うのですが、どのようなことに気をつけるべきでしょうか?

執筆者 : 仁木康尋

【家計相談】4人家族です。転職しようと思うのですが、どのようなことに気をつけるべきでしょうか?
収入アップ、ワークバランス・ライフバランス、キャリアアップ、キャリアチェンジ、業績悪化による将来への不安など、置かれた環境によって転職の目的は人それぞれ。しかし給与は家計に直結するため、いずれにしても慎重に行動する必要があります。
 
今回は、キャッシュフロー表を使って、理想的な年収を割り出す方法を解説します。
仁木康尋

執筆者:仁木康尋(にき やすひろ)

日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント

人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。

キャッシュフロー表とは

「将来にわたって収支がどのようになるのか?」――それを可視化し、家計を改善するためのツールがキャッシュフロー表です。
 
家族の構成、年齢、ライフイベントによる支出の変化や、一時的な支出の予定などを反映して作成しますので、長期的な視点で家計の収支と貯蓄残高の推移を把握できます。
 
【図表1】

(出典:日本FP協会 ホームページ)
 

作成時のポイント

収入は、現在お勤めの会社で勤務を続けた場合を想定して作成します。配偶者も働いている場合には、配偶者の収入も入力します。
 
支出は、基本生活費、住居関連費、車両費、教育費、保険料、そのほかの支出、一時的な支出に分類します。
 
基本生活費や住宅関連費は、現在の支出額を基準にします。教育費は子どもだけでなく、自身や配偶者の学び直し費用も将来必要になるかもしれません。考慮しておきましょう。
 
一時的な支出には、車の購入(一括)、住宅購入時の頭金など一時的に発生する費用が該当します。こちらは生活スタイルによって変わりますので、あらかじめ夫婦で話し合っておきたいところです。
 
作成したら、収支の推移を確認しながら、支出を改善する余地があれば、この機会に見直しをしておきます。
 

必要な収入額の見積もり

作成したキャッシュフロー表を基準に、収入の許容範囲を探ります。
 
現職で勤務を継続することを想定して作成していますので、こちらを基準として、収入の振れ幅の許容範囲を判断していきます。
 
目安として、一時的支出の発生する年は、年間収支が赤字になる場合はありますが、貯蓄がマイナスにならない水準を維持することを念頭におきます。
 
このようにして、ミニマムの水準を把握しておくとよいでしょう。
 

健康保険

転職を考えるうえで、気をつけていただきたいのが社会保険の取り扱いです。
 
会社員として加入する社会保険は、「健康保険」「介護保険(40歳以上)」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」の5種類あります。
 
家族がいる場合には「健康保険」に気を付けてください。会社員は「全国健康保険協会」または「健康保険組合」に加入し、会社と折半で保険料を負担しています。
 
退職後、転職先に入社するまで期間が空いている場合、何も手続きをしないでいると、その期間に万が一のことが起きたとき、本人だけでなく扶養している家族も保障を受けられないことになります。
 
退職後に次の勤務先が決まっていない場合は、「協会けんぽの任意継続」「国民健康保険に加入」「家族の健康保険の被扶養者に異動」する方法があります。
 
それぞれ加入条件や保険料が異なりますので、転職までの期間も考慮しながら選択をします。
 

企業型確定拠出年金(企業型DC)・個人型確定拠出年金(iDeCo)

企業型確定拠出年金(企業型DC)や個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している場合も、転職時に手続きが必要です。
 

【企業型確定拠出年金に加入していた方】

企業型確定拠出年金のない企業等に転職するときは、企業型確定拠出年金の資産を個人型確定拠出年金(iDeCo)に移す手続きが必要です。

 

【iDeCoに加入されていた方】

転職先で企業型確定拠出年金に加入する場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者資格の喪失手続きが必要になります。そのうえで、転職先の企業型確定拠出年金に移す手続きをします。

 
転職先の企業型確定拠出年金規約で、個人型確定拠出年金への同時加入が認められている場合は、引き続き、個人型確定拠出年金への加入者として掛け金を拠出もできます(2022年10月以降、企業型確定拠出年金とiDeCoの同時加入について要件緩和)。
 

まとめ

転職は、家計への影響を考慮することが重要です。給与はもちろん、福利厚生、企業の信用力(住宅ローンを組む際の金利にも影響する場合もあります)なども、しっかりと調べておきましょう。
 

出典

特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会 便利ツールで家計をチェック

全国健康保険協会 ホームページ
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト 転職・退職された方へ
 
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント

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