更新日: 2022.07.11 働き方

未払いの残業代を取り返したい。会社と交渉するための方法って?

執筆者 : 柘植輝

未払いの残業代を取り返したい。会社と交渉するための方法って?
日本の労働環境における問題点として度々挙げられるものに「未払いの残業代」の存在があります。本来支払われるべきであった残業代の支払いを受けるにはどう会社と交渉していけば良いのでしょうか。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

未払いの残業代の交渉は行っておくべき

難しい問題ではありますが、未払いとなっている残業代の請求は早めに行っておくべきだといえます。残業代は本来支払われるべき賃金であり、それを請求することは労働者の権利です。また、残業代の支払いは雇用主の義務であり、残業代の未払いは違法行為であるからです。
 
しかし、残業代の交渉は非常に勇気とエネルギーを要する行為であり、諦めてしまったり泣き寝入りとなったりしてしまっている方も少なくないようです。特に在職中の残業代の請求は、職場で平穏に働けなくなることを懸念して我慢してしまうこともあります。
 
しかし、残業代の請求を理由に不利益な扱いをするのは違法であり、そういった行為があった場合はある意味雇用主側が残業代の不払いを肯定したようなものです。自信を持って、残業代の交渉は行っておくべきです。
 
なお、2020年4月1日以降の残業代は3年間、それ以前のものは2年で時効となってしまうため残業代の請求は早めに行う必要があります。
 

会社と残業代を交渉する方法

会社と残業代を交渉する方法には大きく分けて4つあります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、状況に応じて使い分けることで適切に会社と交渉することができます。
 

会社と直接交渉する

在職中であるか否かにかかわらず、まず候補として挙がるのが直接のやり取りで交渉する方法です。直接会社と対話することになるため、ハードルが高く感じられるかも知れませんが、お金がかからず交渉にあたって手間も少ない方法になります。
 
絶対ではありませんが、タイムカードなど証拠を徹底的に集めて法的な根拠と事例を提示し、論理的に交渉することで意外とすんなり残業代が支払われることもあります。
 

労働基準監督署に駆け込む

労働基準監督署とは、労働の現場において法律が守られているか監視する機関です。タイムカードと給与明細など残業代が未払いとなっている証拠を提示して相談することで、会社に対し調査と状況の改善勧告を行ってくれます。匿名での対応も可能となっているため、会社と直接交渉するのは今後が不安という場合は労働基準監督署への相談も有効です。
 

労働審判

労働審判とは、会社と労働者の間に起こったトラブルを、裁判官や知見を有する専門家が間に入って中立的な立場から解決を図る、裁判所を通じた手続きになります。
 
争いではなくあくまでも解決のための話し合いの場であり、原則3回の審理で手続きが終わるため、訴訟では時間的にも費用的にもハードルが高いという場合におすすめできる方法になります。話し合いがまとまらなければ最終的に訴訟に移行することもできます。
 
詳細については就業している事業所の所在地を管轄する地方裁判所へご相談ください。
 

労働裁判

話し合いや労働審判などでも解決できない場合の解決方法に労働裁判があります。裁判となると、一般的には弁護士に依頼することとなるため、費用がかかります。裁判は長期化することもあり、残業代の金額によっては訴訟費用と弁護士への報酬でマイナスとなってしまう可能性もあります。
 
しかし、会社にとっても訴訟の負担は存在するため、その他の方法では残業代の支払いを受けられなかったが、どうしても諦められない場合は労働裁判を実施することも検討の余地があります。
 

労働問題の相談は労働基準監督署や弁護士へ

残業代を未払いとすることは違法な問題です。会社もそれを自覚している場合、直接交渉するほか、労働基準監督署などへの相談や労働審判を起こすことで未払いとなっている残業代の支払いを受けられることがあります。
 
しかし、労働者の立場から残業代を請求することはそう簡単ではありません。自身の力だけでは不安があるという場合は、なるべく早めに労働基準監督署や弁護士などへ相談してみてください。
 

出典

厚生労働省 事業主の皆さま、労働者の皆さま 未払賃金が請求できる期間などが延長されています
 
執筆者:柘植輝
行政書士
 

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