更新日: 2024.10.10 働き方
【女性の就業調査】働きたいのに働けない人が増えている? コロナ禍における女性の就業状況は?
今回は、昨今の女性を取り巻く労働環境や労働市場についてご紹介します。就業を希望する女性が、どのように仕事をみつけたらいいのか、一緒に考えていきましょう。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
コロナ禍での就業者数の減少
新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの雇用や労働環境などに深刻な影響を与えています。日本では2020年4月以降、緊急事態宣言が発出されたことで外出自粛ムードが強まり、飲食業界や宿泊・観光業界などサービス業が大きな影響を受けました。
そして残念ながら、その影響は特に非正規雇用労働者の雇用の悪化という結果につながっています。
内閣府男女共同参画局によると、日本の就業者数はコロナ禍の2020年4月に男性で39万人減、女性で70万人減と大幅に減少し、女性の減少幅が男性に比べて大きくなっています(※1)。
また、非正規雇用労働者の数は男性より女性のほうが多く、2020年の産業別の雇用形態では、新型コロナウイルスの影響が大きく及んだ宿泊や飲食といったサービス業などで非正規雇用の女性の割合が高くなっています。
2020年においては4月以降、前年比・前々年比で宿泊や飲食サービス業での女性の就業者数が減少していることからも、企業は非正規雇用労働のほうから先に契約を解除していると考えられます。
もっと働きたいのに働けない人が増加
就業者数の減少のほか、休業を余儀なくされた人や労働時間を減らされてしまった人が増えたであろうコロナ禍では、もっと長時間働きたいと考える「追加就労希望就業者」についても増加傾向があります。
男性の場合、コロナ前の2018、2019年では追加就労希望就業者がいずれも53万人でしたが、2020年には80万人となりました。一方、女性の場合は2018年の追加就労希望就業者数は130万人、2019年では128万人でしたが、2020年には148万人に増加しています(※2)。
また、2020年で女性の年齢別の追加就労希望就業者が最も多いのは、45~54歳の42万人、次に多い35~44歳の34万人でこれらを合わせると全体の半数を占めています。
女性が安定して就業するためには?
今回の新型コロナウイルスの影響により、日本の労働市場では以下の傾向があることが分かりました。
●非正規雇用労働者のほうが、正規雇用労働者よりも早く契約が解除されてしまう
●男性に比べて非正規雇用労働者の割合が高い女性のほうが、失業する可能性が高い
やはり正社員での就業を目指すというのが、最も安定した雇用につながります。
また、コロナ禍では医療や福祉の分野で人手不足となり、引き続き、働いてくれる人を募集している会社や病院がみられます。医療や福祉の仕事は、女性が大いに活躍できる現場です。経験がある人はもちろんですが、その他の事務やサービス業などでの経験を生かして、医療や介護関連の職場で働くチャンスがあるかもしれません。
早急に就業したい人や、働く業界にそれほどこだわらないという人は、需要がある分野での仕事を検討してみるのもいいでしょう。
まとめ
新型コロナウイルスの影響で、思うように仕事ができていない女性が多くいるのが現状です。しかし、これから新型コロナウイルスの流行が下火となることで、労働市場も以前のように活発化してくる可能性があります。
人手不足の現場や求職情報にアンテナを張り、ぜひ正社員として働くことができるよう、就職活動に取り組んでみてはいかがでしょうか。
出典
(※1)内閣府男女共同参画局 今週の男女共同参画に関するデータ コロナ下の女性への影響に関するデータ
(※2)内閣府男女共同参画局 コロナ下の女性への影響について 令和3年12月
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者