更新日: 2022.09.15 働き方

「扶養の範囲を超えて稼いでしまった!」そんなときに使える方法とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「扶養の範囲を超えて稼いでしまった!」そんなときに使える方法とは?
扶養内でパートやアルバイトで働きに出るときに使われる言葉に、「103万円の壁」や「130万円の壁」というものがあります。「103万円」「130万円」という金額は、それぞれ「配偶者控除を受けるため」「配偶者の健康保険の扶養家族から外れないため」の年収の上限です。
 
ですが、もし超えてしまっても個人型確定拠出年金である「iDeCo」に拠出して超えた分を年収から控除すれば、問題ない場合もあります。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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「103万円の壁」「130万円の壁」とは

配偶者の扶養に入っている方が短時間のパートで働きに出るときに「103万円の壁」「130万円の壁」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。実はこの金額には大きな意味があります。
 

・「103万円」は「配偶者控除」の壁

例えば、年間合計所得が1000万円以下の会社員の夫と、夫の扶養家族としてパートで働いている妻がいるとしましょう。もし妻の年収が「103万円以下」なら、所得税の計算上、夫の年収から38万円が「配偶者控除」として差し引かれ、夫が納付する所得税を減らすことができます。なお、夫の年間合計所得が1000万円を超えている場合、妻の年収額に関わらず配偶者控除を受けることはできません。
 

・「130万円」は「健康保険の扶養家族」の壁

夫が会社員で、勤め先の会社で健康保険に加入している場合、夫の扶養家族は保険料を負担せずに夫の健康保険を使うことができます。
 
妻が夫の健康保険を使用できる扶養家族としてとどまるためには、妻の年収は「130万円未満」でなくてはなりません。もし130万円以上になってしまったら、妻は自分の勤め先の健康保険か国民健康保険に加入し、自分で保険料を納付しなければならなくなるのです。
 
また、2022年10月、2024年10月には社会保険の適用範囲が拡大され、年収130万円未満でも社会保険の加入者になるケースがあるため、注意が必要です。
 

壁を超えてしまったら「iDeCo」に拠出しよう

もし、「103万円」「130万円」の壁を少し超えてしまったときはどうすればよいのでしょう。夫の年収に所得控除があるように、妻の年収にも所得控除があります。それを使って年収を少し減らせばよいのです。
 
ですが、夫の年収の方が多く、夫の扶養に入っている場合は配偶者控除を使えません。そこで、個人型確定拠出年金の「iDeCo」に超えた分を拠出しましょう。拠出した額は「小規模企業共済等掛金控除」として、年収から差し引かれます。
 
ただし「iDeCo」への拠出額には限度があり、会社員の配偶者で国民年金の第3号被保険者に該当する人の場合、月額2万3000円まで、年間では27万6000円までです。この限度額以上に年収が超えてしまうと、「iDeCo」への拠出だけでは不十分になりますので注意が必要です。
 

iDeCoへ拠出する利点と注意点

「iDeCo」で運用して得た利益には税金がかかりません。拠出したお金は「iDeCo」で10年以上運用した後、60歳以降に年金として受け取るか、一時金として受け取る、あるいは年金と一時金を組み合わせて受け取ることが可能です。「iDeCo」は公的年金や退職金のように、老後資金の備えとすることができます。
 
一方、注意すべきことは、年金として受け取るときには雑所得、一時金として受け取るときには退職所得として扱われ、いずれも所得税の課税対象となります。
 
また、「iDeCo」への拠出金の運用は自分で行うので、資産運用や金融商品に関する知識が必要になります。中には元本保証がない商品もあるため、そのような商品で運用した場合は元本割れを起こすリスクがあります。
 

「iDeCo」で年収を調整しながら老後の備えを

配偶者控除の「103万円」や健康保険の扶養条件である「130万円」の壁を超えないように年収を調整して来た人も、超えた分を「iDeCo」に拠出すれば、多少のオーバーはむしろ老後の備えにすることができます。元本割れのリスクはあるものの、将来を考えるならば、壁を超えて「iDeCo」への拠出分を余分に稼ぐのもいいかもしれません。
 

出典

国税庁 No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか

全国健康保険協会 被扶養者とは?

日本年金機構 た行 第3号被保険者

厚生労働省 iDeCoの概要

iDeCo公式サイト iDeCoの仕組み

iDeCo公式サイト ご注意いただきたいこと

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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