更新日: 2024.10.10 働き方

早期退職したいけど……。決断前に確認する早期退職のメリット・デメリット

早期退職したいけど……。決断前に確認する早期退職のメリット・デメリット
昨今ではセミリタイアやアーリーリタイアという言葉を見聞きすることが増えました。どちらも定年を迎える前に企業を退職する早期退職のことをいい、副業や投資の広まりをきっかけとして早期退職を考え始めた人もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
早期退職を決断する前に、まずはそのメリットとデメリットを知っておきましょう。
杉浦詔子

執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)

ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
 
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
 

これからはどのように働くか

定年後も再雇用などを活用し、会社員として働き続けることを選択する人がいる一方で、定年前に企業を退職し、独立や起業、転職によって自分の好きなことを仕事にしようとする人や、投資などで利益を得る生活を希望する人もいます。
 
自分の希望するように生きることは理想的な生き方ですので、どんな選択をしても間違いではありません。しかしながら、早期退職を決断した後、お金の面で苦戦して結果的に夢を諦めることになっては元も子もありません。まずは、早期退職に関するお金の面でのメリットとデメリットを理解し、これからどのように働くか、自分の人生を考えていきましょう。
 

早期退職のメリット

早期退職には、勤務先が退職者を募る希望退職制度によるものと、定年前に自分自身で退職を決めるものとがあります。
 
どちらの早期退職でも、定年年齢になる前に自分の時間が手に入ることが一番のメリットです。手に入った時間を活用して新しい学びを始めたり、今までの経験を深めたりすることで、新たなキャリアを歩み出せる可能性も期待できます。
 
また、勤務先が退職者を募る希望退職制度では、金銭面で優遇されることが多いというメリットもあります。代表的な制度としては、退職金を割り増しして支給する退職金割増制度、退職後の就職先の紹介や新たな資格取得の支援を受けられる再就職支援制度などがあります。
 
なお、希望退職制度などによる会社都合退職では、雇用保険からの失業給付を自己都合退職より早いタイミングで受けることができます。退職した後すぐには次の仕事を始めない場合でも、この失業給付が生活の助けとなるでしょう。
 

早期退職のデメリット

早期退職にはデメリットもあります。勤務先を退職するため給与収入がなくなり、さらに勤務先の福利厚生を使うこともできなくなります。福利厚生には厚生年金や社会保険の加入、健康診断の受診、レジャーの割引などがあります。厚生年金から国民年金に変わると将来受け取れる厚生年金の額が少なくなります。
 
さらに、企業には労働者に年1回以上の健康診断を受診させる義務があるため、これまで毎年の健康チェックを忘れることはなかったと思われますが、退職後は自治体などの制度を利用し自ら受診しなければならないため、受診を忘れ、健康を害したときに治療が遅れる可能性もあります。
 
また、早期退職後は、これまでの貯蓄の運用利益や新たな仕事での収入により、退職前より生活が豊かになることもありますが、予定した利率で運用できなかったり、新たな仕事が続かなかったりする恐れもあります。
 

FIREできるか?

FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは、経済的自立と早期リタイアの頭文字を並べたもので、早期に資産形成して資産運用で生活費を賄おうというライフスタイルです。
 
例えば、おおざっぱな計算ですが、1億円の資産を年間利回り4%で運用すると運用益は400万円となり、年間の生活費を400万円以下に抑えれば、働かなくても生活に困ることはありません。
 
このように高い運用利回りをキープし続け、生活費を運用益以下に抑えることができればFIREは可能でしょう。しかし、運用利回りを1%程度でキープすることが精いっぱいだとしたら、1億円を運用しても運用益は年間100万円ほどとなり、税金や社会保険料を払いながら運用益だけで生活を続けるのはかなり厳しくなると考えられます。
 
資産額と運用利回り、年間生活費を比較して、早期退職した後に働かずに生活費を賄うことが可能なのかを算出し、可能でなければ不足額を賄うだけの収入を得なければなりません。
 
早期退職するかどうかは、お金の面でのメリットとデメリットを知り、生活が成り立つ見込みが本当にあるのか、よく考えてから決断しましょう。
 
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

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