更新日: 2022.12.12 働き方

「退職代行サービス」を使えば、その日のうちに退職できるの? 退職金は出る?

執筆者 : 柘植輝

「退職代行サービス」を使えば、その日のうちに退職できるの? 退職金は出る?
さまざまな事情で退職したくてもできずに悩む方を中心に、「退職代行サービス」が話題を集めています。このサービスを使えば、退職金を受け取った上で、その日のうちに退職することができるのでしょうか。詳しく見ていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

退職代行サービスとは

退職代行サービスとは、退職の意思を自ら会社に伝えることができない方や、会社が退職させないよう阻止してくる方など、退職できずに悩んでいる方の代わりに退職の手続きを行ってくれるサービスのことです。
 
基本的には会社と本人の間に立ち、本人の意思を会社へ、会社の意思を本人へ伝えてくれるため、退職に関するほぼすべての事柄を任せることができます。本人に対しては強気であった会社が、退職代行サービス事業者が介入してきた途端におとなしくなり、すんなりと話がまとまるといったこともあるようです。
 
ただし、会社への返却物などがある場合、それらを整理し、郵送するなど、状況次第では自身で対応しなければならない部分が出ることもあります。
 

退職代行サービスは事業者によって内容が異なる

退職のサポートをしてくれるサービスという点は、どこの退職代行サービスにおいても共通しているものの、詳細な内容は事業者によって異なります。参考までに、4社ほどピックアップし、比較してみました。
 
図表1

A事業者 B事業者 C事業者 D事業者
即日退職
料金 一律2万9800円 一律2万4000円 一律2万7000円 着手金5万5000円+オプション費用+実費
交渉の代理
運営団体 労働組合法人 株式会社
(労働組合と提携)
株式会社
(弁護士と提携)
弁護士法人
対応可能日 年中無休、24時間対応 年中無休、24時間対応 年中無休、7時から23時 24時間対応
特記事項 運営団体が労働組合法人で安心 返金保証差サービスがある 有給消化サポート制度がある 私物の引き取りや引き継ぎについても任せられる

※筆者作成
 
基本的にはどの事業者も似たような内容ですが、完全に同じではありません。料金に差があることはもちろん、返金制度があったり私物の引き取りサービスがあったりと、事業者ごとに特色が出ています。退職代行サービスを依頼する際は、サービスの内容をよく確認した上で信頼できる事業者に依頼することが大切です。
 
中には高額な料金を本人に請求する悪質な事業者や、弁護士ではないにも関わらず本人に代わって退職の交渉を行うなど、法令に違反している事業者も存在します。
 
「価格が安いから」「全部任せられて楽そうだから」といった安易な理由だけで決定することは、くれぐれも避けるようにしましょう。運営者はどのような事業者か、サービス内容と価格に納得ができるか、安心して任せられるか、法令違反はなさそうか、などの観点から幾つか比較し、その中で安心して依頼できる事業者を定めるようにしてください。
 

退職代行サービスを使えば、その日のうちに退職できるの?

多くの退職代行サービスでは即日退職可能を掲げており、基本的にはその日のうちに退職できるようです。もし、本当に即日退職が可能なのか不安であれば、あらかじめ事業者に確認を取った上で依頼することをおすすめいたします。
 

退職金は必ず出るとは限らない

退職金の支給の有無は、会社の賃金形態や就業規則、雇用契約の内容などによって異なります。退職代行サービスを使ったからといって必ず支給されるというものではありません。
 
しかし、会社側が「自己都合退職者には退職金の支払いを渋る」という場合、退職代行サービス事業者からの請求で支払いを受けられる可能性もあります。退職金の支給の有無が気になるのであれば、あらかじめ退職金の支給規定について調べ、可能であれば請求できるようにしておくとよいでしょう。
 

自力で退職ができない場合は退職代行サービスの利用も検討を

自力での退職が困難となっている方にとって、おおむね3万円以内で退職ができる退職代行サービスは十分利用価値があるサービスとなります。場合によっては即日退職ができ、就業規則などの内容によっては退職金を受け取ることができる場合もあります。
 
自力では退職できないと悩み、退職代行サービスを利用しようと考えている方は、複数の事業者を見比べ、信頼できる事業者に依頼するようにしましょう。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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