更新日: 2022.12.26 働き方

【社会保険適用拡大】「ダブルワークしているけど、社会保険料は引かれたくない…」加入要件と注意するポイントを解説

執筆者 : 中村将士

【社会保険適用拡大】「ダブルワークしているけど、社会保険料は引かれたくない…」加入要件と注意するポイントを解説
2022年10月から、パートタイマーやアルバイトなどの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用範囲が拡大されました。このことは、ダブルワーク(掛け持ちして働くこと)をしている方にも影響があります。
 
本記事では、ダブルワークをしている方が社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)を引かれないために、どのようにしたらよいかを解説します。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

短時間労働者の加入要件

短時間労働者が社会保険(健康保険と厚生年金保険)に加入することになるのは、会社に対する要件と短期労働者に対する要件の、どちらの要件も満たしたときです。逆にいえば、これらの要件を満たしていない場合、社会保険には加入しません。
 
会社に対する要件とは、その会社が「特定適用事業所」であること、もしくは「任意特定適用事業所」であることです。
 
特定適用事業所とは、簡単にいえば、短時間労働者を除く被保険者(正社員)の総数が常時100人を超える事業所のことです。任意特定適用事業所とは、労使合意によって、短時間労働者も社会保険の適用対象としている事業所のことです。
 
短期労働者に対する要件とは、以下のとおりです。

・週の所定労働時間が20時間以上であること
・雇用期間が2ヶ月を超えて見込まれること
・賃金の月額が8万8000円以上であること
・学生でないこと

2022年10月から適用範囲が拡大された要件は、特定適用事業所における「常時100人を超える」という要件と、短期労働者における「雇用期間が2ヶ月を超えて見込まれる」という要件です。
 

社会保険への加入は会社ごとに判断する

社会保険への加入は、原則として、それぞれの会社ごとに判断します。ダブルワークの場合について、仮にA社とB社で働いているとして、考えられるパターンは以下のとおりです。

・パターン1:A社、B社ともに加入要件を満たしている
・パターン2:A社、B社のいずれかが加入要件を満たしている
・パターン3:A社、B社ともに加入要件を満たしていない

パターン1の場合、A社、B社の両方で社会保険に加入します。保険料は、報酬を合算して算出されます。余談ですが、会社負担分については、報酬の割合に応じて各会社が負担することになります。
 
パターン2の場合、要件を満たしている会社で社会保険に加入します。要件を満たしていない方の会社については、社会保険に加入しませんので、社会保険料の負担はありません。報酬の合算による保険料増加もありません。
 
パターン3の場合、A社でもB社でも社会保険に加入しません。報酬を合計して社会保険に加入することもありません。ただし、被扶養者であった場合、年収が130万円以上になると、社会保険の被扶養ではなくなりますので、注意が必要です。
 

まとめ

社会保険への加入は、原則として、それぞれの会社ごとに判断します。ダブルワークの場合、それぞれの会社ごとに加入要件を満たしているかどうかを判断することになります。
 
社会保険料を支払いたくない、社会保険に加入したくない場合は、特に以下の点に注意した方が良いでしょう。

・会社が「特定適用事業所(短時間労働者を除く被保険者の総数が常時100人を超える事業所)」でないかどうか
・週の所定労働時間が20時間以上でないかどうか
・雇用期間が2ヶ月を超えて見込まれないかどうか
・賃金の月額が8万8000円以上でないかどうか

2024年10月には、特定適用事業所の要件が「短時間労働者を除く被保険者の総数が常時50人を超える事業所」に改正されます。この点も踏まえ、今後の働き方の参考にしてください。
 

出典

日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
日本年金機構 被保険者が複数の適用事業所に使用されることになったとき
日本年金機構 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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