更新日: 2019.01.10 家計の見直し

共働き家庭にも! 家計の把握にもう時間をかけなくてすむ「時短お金管理術」とは?(後編)

執筆者 : 福島えみ子

共働き家庭にも! 家計の把握にもう時間をかけなくてすむ「時短お金管理術」とは?(後編)
前編では、「時短お金管理術」の内容を紹介してきました。続く後編では、具体的な家計簿アプリの使い方や注意点、さらに時短に家計を把握するコツについて紹介していきます。
 
https://financial-field.com/household/2018/05/29/entry-17442  
福島えみ子

Text:福島えみ子(ふくしま えみこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表
大学卒業後、都市銀行に入行。複数の銀行、法律事務所勤務中に、人生の悩みは結局のところお金と密接に関係することを痛感、人生をより幸せで豊かにするお手伝いがしたいとファイナンシャルプランナーに。FP会社にて勤務後、独立。これまで500件以上の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。

http://mdtheory.co.jp/

現金でなくても大丈夫?

前編で紹介してきた「時短お金管理術」は、現金ではなく、極力、電子マネーやクレジットカード、デビットカードといったものを使って、支払った履歴を自動的に記録してもらい、それによって手間も時間もかけず管理していきましょうというものでした。
 
しかしおそらく、電子マネーやカードだと現金よりも使い過ぎてしまうのでは? と心配する人もいるのではないでしょうか? ところが、実はこのほうがむしろ使い過ぎを防げる面もあります。
 
というのは、“今月は今の時点でいくらくらい使ったのか?”という合計額を自分で集計することなく、すぐにでもスマートフォンやPCで確認することができるからです。
 
また、レシートにチャージした電子マネーの残額が、買いもののたびに記載されることも多いため、残りの使える金額も一目瞭然です。お財布の中に今いくら残っているかを、数えなくてもいいということですね。
 
そのうえ、小銭をレジで用意する必要もないため、小銭を財布から数えて取り出すのが苦痛という高齢者にも、ストレスフリーです。
 
そして、予算を決めて現金をお財布に入れ、それ以上は使わないようにしているという人なら、電子マネーに予算分だけチャージすれば同じ状態がつくりだせます。
 
例えば、1週間の食費は7000円と決めて、お財布に現金7000円だけ入れて買い物に出かけているなら、電子マネーをオートチャージ(残高が一定額以下になると、自動的にクレジットカード等からチャージされる)にせず、1週間ごとに7000円ずつ手動チャージすればOKです。
 

さらにダブルのメリットも

しかも、そのチャージを現金ではなくクレジットカードで行えば、クレジットカードのポイントやマイルもついてきます。
 
そして、ポイントがつく電子マネーであれば、クレジットカードとダブルでポイントが貯められます。同じ金額を使うなら、ポイントがついたほうがよりおトクですよね。
 
さらには、お子さんに塾に行くときの交通費やコンビニ代を渡している、という人にもこの方法は有効です。ちょこちょこと手持ちがなくなるたびに現金をわたすのではなく、ひと月に3000円ずつと決めたら、その金額だけを月初めにチャージします。
 
そうすると、お子さんにいくらわたしているのかわからなくなることも防げるはずです。
 
この方法、実際に相談者の人たちにも実践してもらっていますが、お子さんが自分で予算管理するようになったとの声もあり、好評です。
 

時短お金管理術のネックは?

こうして、電子マネーやクレジットカードの使用履歴を取得させると、レシート撮影の手間さえも不要、かなりの時短になります。
 
ところが、今の日本では、電子マネーやカード決済ができるところばかりではありません。小売店、飲食店でもこれらが使えないところはまだまだあります。
 
飲み会や食事会での割り勘の代金もそうですし、現金で支出せざるを得ない場面がまだ少なくないのが現実です。
 
したがってその部分だけは、アプリなどに手入力せざるを得ないのが現状ですが、電子マネーやカードが使えるところはじわじわと増えている実感があります。
 
今後の普及に期待しつつ、使った金額を通帳にメモしたりするなど、なるべく手間が少ない方法で記録するようにしましょう。
 

アプリを使って管理する場合、これだけは注意

ところで、世の中メリットがあれば、必ずといっていいほどデメリットもあります。家計簿アプリなどの個人情報の保護やセキュリティです。自分の情報を一元化するということは、それが流出したり損なわれたりしたときは、それらが一切合切流出するおそれもあるわけです。
 
もちろん、家計簿アプリなどの業者は安全性を強調しますが、世の中に“絶対大丈夫”はないわけで、リスク分散を自分でしておく必要はあります。
 
例えば、ここまで紹介した方法では、基本的に使ったお金の管理さえできればよいわけですから、銀行口座や証券会社での資産運用など、家計簿アプリに一切合切を登録しておく必要はありません。
 
家計簿アプリへの連携は複数のクレジットカードや電子マネーだけにとどめ、銀行口座は連携せず、銀行口座は通帳の履歴で管理するというのもおすすめです(筆者はこの方法です)。
 

さらにストレスから解放される家計管理方法とは?

家計管理をさらに時短で行うには、従来の家計簿の“費目ごとに仕分けする”という形式を頭から捨て去ってしまうのがおすすめです。
 
なぜなら、そもそも日用雑貨費や食費などといったカテゴリーにわけて、分類しようとする行動自体が時間と労力のムダのもとだからです。
 
まじめな人や几帳面な人ほど、この“費目”の仕訳のワナにはまりがちです。「これは、費目のどこに入れればいいの?」と混乱して、しだいに家計簿が面倒になる人を何人も見てきました。
 
今どきは、ドラッグストアでも食品を売っているため、ドラッグストアで日用雑貨も食品も買うし、スーパーでも同様に安ければスーパーで日用雑貨も買うこともあります。ここで、食費? 日用品費? 1つ1つ仕訳をするのは面倒! となりがちです。
 
ほかにも、「手袋を新調したけど、これは何費? 日用雑貨費? 被服費?」「折り畳み傘は?」と、迷い始める人がいますが、そういった時間はまったくのムダというものです。
 
そうではなく、「○○ドラッグストア費」「△○スーパー費」でいいのです。そして、手袋も折り畳み傘も普通は何費なの? と迷う必要はまったくありません。
 
自分のイメージしやすい費目に迷いなく入れてしまうか、もしくは自分で費目を設定してしまえばOKです。
 
美容費と被服費あわせて「キレイ費」として把握したり、美容費とスポーツジムやマッサージなどをあわせて「ヘルスビューティ費」と名づけて管理したりしている相談者もいます。
 
人それぞれ、自分のライフスタイルと管理しやすさにあわせて、自分で自由に設定してしまってよいのです。
 
前編・後編にわけて、できるだけ時間も手間もかけずに日々の家計を管理する方法を紹介してきました。ぜひこの方法で生み出せた時間を有効に使いつつ、上手にお金の管理をしていってみてください。
 
Text:福島 えみ子(ふくしま えみこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表

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