「年収103万円」と「年収130万円」結局どっちがお得なの?「収入」と「時間的ゆとり」が決め手に

配信日: 2023.01.18 更新日: 2024.10.10

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「年収103万円」と「年収130万円」結局どっちがお得なの?「収入」と「時間的ゆとり」が決め手に
扶養内で働きたい人にとって、「年収103万円と年収130万円どちらがよいのか」と疑問に感じることがあるのではないでしょうか。実際のところ、どちらがお得かどうかは働き方に対する個人の価値観で異なります。
 
本記事では、扶養内で働く場合の103万円と130万円の年収についてそれぞれのメリットを解説します。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

103万円と130万円の年収の壁

家族の扶養内で働こうとする場合、年収の上限をどこまでにするかをまず考えるでしょう。そこで多く挙げられるのが「103万円」と「130万円」です。一般的に「年収の壁」と呼ばれていますが、何を根拠にこれらの金額が壁となるのでしょうか。
 

103万円は給与所得控除額+基礎控除額

給与にかかる所得税は、給与から給与所得控除額と所得控除額を差し引いて計算します。給与所得控除額は年収に比例して決まりますが、最低でも55万円が設定されています。所得控除には社会保険料控除、医療費控除など複数の種類がありますが、その中の1つである基礎控除額48万円は誰にでも平等に設けられている金額です。
 
つまり、「給与所得控除額55万円+基礎控除額48万円=103万円」は、誰にでもある最低限の控除額であることから、年収103万円以内であれば所得は0円となり扶養内で働けるということになります。
 

130万円は社会保険の収入基準

社会保険の被扶養者(扶養される人)として認定されるためには、被保険者(社会保険に加入する人)と同一生計であり、かつ年収が130万円未満で、被保険者の年間収入の2分の1未満でなければなりません。年収130万円の壁と呼ばれますが、正確には「129万9999円の壁」である点に注意しましょう。
 

103万円は所得税・130万円は社会保険の扶養

年収103万円と130万円は、扶養の種類が違うということをまず知っておいてください。103万円は所得税の扶養、130万円は社会保険の扶養の壁になります。
 
例えば、年収103万円以下であれば所得税と社会保険、いずれの扶養にも入れるということです。一方、年収130万円以下であれば、社会保険料を支払う必要はありませんが、所得税の扶養からは外れるため所得税が発生します。
 

年収上限103万円のメリット

では、年収を103万円に抑えて働く場合のメリットを挙げてみます。

・所得税がかからない
・扶養している配偶者が配偶者控除を受けられる
・時間的ゆとりがある

 
年収103万円以下の人には所得税が発生しません。よって、「給与の額面金額=手取り額」ということになります。扶養されている配偶者の場合、所得控除の1つである「配偶者控除38万円」を受けることができ節税につながります。
 
また、お金に関するメリットではありませんが、130万円と比較すると勤務時間が少なくなる場合が多いと考えられるため、時間的余裕が生まれる人も多いでしょう。
 

年収上限130万円のメリット

次に、年収103万円を超えて130万円まで稼いだ場合のメリットです。

・収入が増える
・配偶者が配偶者特別控除を受けられる
・仕事の幅が広がる

年収130万円の最大のメリットは、単純に収入が増えるという点です。103万円から27万円増えることで所得税が発生したとしても、1万円程度の問題であることから給与のほとんどは手元に残ります。
 
また130万円になると配偶者の所得税の扶養から外れるため、103万円にはあった配偶者控除が受けられなくなりますが、代わりに103万円を少し超えた人用に設けられている「配偶者特別控除」が適用されます。130万円であれば控除額も38万円となり配偶者控除と変わりません。
 
少子高齢化による労働者の減少は社会問題となっていますが、少しでも長く働けることで仕事の幅が広がり、希望の職に就ける可能性が高まるでしょう。
 

収入か時間的ゆとりか

年収103万円と130万円では、負担が大きい社会保険料はいずれも0であり、税金にも大した差はありません。どちらを選ぶかのポイントは、収入を取るか、時間的ゆとりを取るかになるのではないでしょうか。
 
働き方で迷っている場合は、本記事で紹介した内容を参考に考えてみてください。
 

出典

国税庁 給与所得者と税
全国健康保険協会 被扶養者とは?
国税庁 No.1191 配偶者控除
国税庁 No.1195 配偶者特別控除
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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