更新日: 2023.01.25 働き方

「年収130万円未満」なのになぜ? 社会保険の扶養から「外れてしまう条件」を解説

執筆者 : 佐々木咲

「年収130万円未満」なのになぜ? 社会保険の扶養から「外れてしまう条件」を解説
社会保険の扶養といえば「年収130万円の壁」が一般的に知られていますが、「年収106万円の壁」もあることをご存じでしょうか。
 
130万円未満だから大丈夫と安心していても、もしかしたら社会保険の加入対象になってしまうかもしれません。本記事では、社会保険の年収106万円の壁について解説していきます。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

社会保険の加入要件

パートやアルバイトなどの短時間労働者であっても、次の要件に該当する場合には社会保険の加入対象になります。

・従業員数が101人以上の会社に勤務している
・月額賃金が8万8000円以上である(年収106万円以上である)
・週の所定労働時間が20時間以上である
・2ヶ月以上の雇用期間が見込まれている
・学生ではない

 

年収130万円と106万円の違い

社会保険の扶養範囲は年収130万円未満となっており、これを超えた場合には扶養から外れるため、自身で社会保険に加入する必要が出てきます。
 
しかし、130万円未満の人であっても、上記の社会保険の加入要件に該当する場合には、社会保険に加入しなければなりません。つまり、大枠として年収130万円、その中の小枠に年収106万円があるイメージです。
 

2022年10月より適用範囲が拡大された

2022年9月以前では、現行の「従業員数が101人以上の会社に勤務している」が「従業員数が501人以上の会社に勤務している」でした。よって、中小企業など規模の小さい会社であれば当てはまらないことが多く、社会保険加入のボーダーラインは年収130万円となっていました。
 
しかし、2022年10月より101人に改正されたことで、約45万人が社会保険に加入することになりました。
 

2024年10月より51人へさらに拡大

2024年10月からは従業員数51人以上となり、さらに社会保険の対象者が拡大します。新たな社会保険加入者は約65万人と推定されており、2022年の改正を超える増大規模となります。
 

社会保険のメリット

社会保険の加入要件に合致した人は、加入を拒否することはできません。手取り額が減るため、損だと感じてしまうかもしれませんが、社会保険は直接的な利益を感じづらい税金と違って、以下のような目に見えるメリットもあります。

・将来の年金受給額が増える
・障害者厚生年金や遺族厚生年金が受給できる
・傷病手当金や出産手当金が受けられる
・社会保険料の半額は会社が負担する

など

 

どうしても社会保険に加入したくない場合の対処法

社会保険にはメリットもありますが、個々の事情によってどうしても加入したくないという場合もあるでしょう。その場合には、社会保険の加入要件から外れるように働き方を変えるしかありません。具体的には以下の方法が考えられます。

・勤務時間を減らして月額賃金8万8000円未満にする
・従業員数が100人以下(2024年10月以降は50人以下)の会社へ転職する
・社会保険の適用事務所ではない会社へ転職する

など

 

まとめ

2022年10月から社会保険の「年収106万円の壁」を乗り越えられずに、社会保険の加入対象となる人が急増しました。
 
2024年10月からはさらに加入対象者が拡大されることを知り、いま年収130万円未満で扶養となっている人は、自身が今後、社会保険の加入対象になるのかどうかについて確認しておきましょう。
 

出典

政府広報オンライン 社会保険の適用が段階的に拡大! 従業員数101人以上の企業は要チェック
厚生労働省保険局 被用者保険の適用拡大について
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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