更新日: 2023.01.30 働き方

パートで「月に10万円」稼いだら、社会保険の扶養から外れる!? 社会保険加入対象の条件って?

執筆者 : 柘植輝

パートで「月に10万円」稼いだら、社会保険の扶養から外れる!? 社会保険加入対象の条件って?
主婦の方などを中心に、扶養の範囲でパートとして働きたいという人は少なくありませんが、扶養の範囲内となる条件について正しく理解できていないこともあります。
 
そこで、パートで働く場合に扶養を外れ、社会保険に加入することになる要件について確認していきます。月収が10万円以内であればいいなど、扶養の条件を曖昧に考えている方は参考にしてください。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

社会保険の加入要件

パートやアルバイトであっても、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している正社員など通常の労働者の4分の3以上であれば、社会保険に加入することになります。
 
社会保険に加入すると健康保険や厚生年金の手厚い保障を受けられますが、毎月の給与から保険料が天引きされるため、手取りは少なくなってしまいます。配偶者の社会保険の扶養に入っていた場合は、これまで発生していなかった社会保険料の支払いが生じることで、家計への負担が増えるケースもあります。
 

短時間のパート勤務で社会保険の扶養から外れる条件は?


 
パートとして短時間のみ働くケースでも、一定の要件を満たすことで配偶者の社会保険の扶養から外れ、自ら勤務先で社会保険に加入することになります。
 
具体的には、パートなど短時間勤務の方を除く被保険者の総数が常時100人を超える事業所(特定適用事業所)に勤務し、下記のすべての要件に該当した場合は社会保険の加入対象となって扶養から外れてしまいます。

・週の所定労働時間が20時間以上であること
・雇用期間が2ヶ月を超えて見込まれること
・賃金の月額が8万8000円以上であること
・学生でないこと

ここで注目すべきなのは、月額賃金が8万8000円以上であるという点です。
 
例えば、パートの月収が10万円までなら年収で130万円を超えないので扶養の範囲になるだろうと考え、毎月8万8000円以上を稼いでしまうと、他の要件もすべて満たしている場合は社会保険に加入することになります。
 
もう1つの注意点が勤務先の被保険者数です。
 
月収が8万8000円以上でも、勤務先の被保険者数が100人以下であれば、週の勤務時間や勤務日数が正社員などの4分の3未満の場合は社会保険の加入対象とならず、扶養に入り続けることができます。
 
令和4年9月以前は、勤務先の要件として被保険者の総数が500人超とされていたため、該当する方はそう多くなかったのですが、令和4年10月からは100人超となったことで社会保険の適用される短時間労働者の方が増えました。
 
つまり、社会保険の扶養の範囲で働く場合、収入だけで考えるのではなく、勤務先での正社員などの労働時間や勤務日数、事業所の規模についても確認する必要があるということです。
 
特に事業所の規模は会社全体でカウントされ、勤務する事業所だけでは条件を満たしていなくても、全体での被保険者の総数が常時100人超であれば社会保険に加入することになるため注意が必要です。
 

令和6年から社会保険の加入対象がさらに拡大

少し先の話になりますが、令和6年10月から社会保険の加入対象となる方の範囲がさらに広がることが決定しています。
 
前述したとおり、現在の社会保険の特定適用事業所となる要件は、短時間労働者を除く被保険者の総数が常時100人を超える事業所とされていますが、令和6年10月以降は常時50人超となります。
 

社会保険への加入の可否は収入だけでは決まらない

社会保険の加入要件は収入だけではなく、勤務先の規模や労働時間などによっても決められています。近年はパートなどの短時間労働者に対する社会保険の適用が段階的に広がっており、年々、配偶者の社会保険の扶養の範囲内で働くことが難しくもなってきています。
 
扶養から外れないように勤務時間などを調整して働くのもいいのですが、それでは十分な収入を得られないこともあります。扶養の範囲での就労が難しい場合、勤務先で社会保険に加入し、扶養を外れて働くという選択も視野に入れると、より自身や家計に合った働き方が見つかるかもしれません。
 

出典

日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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