更新日: 2023.02.13 働き方

転職先に「トイレ掃除」があるなんて聞いていませんでした…拒否することはできますか?

転職先に「トイレ掃除」があるなんて聞いていませんでした…拒否することはできますか?
就職や転職をすると、面接では聞いていなかった業務を命じられることがあります。例えば「トイレ掃除を命じられる」などが考えられます。価値観によっては、常識の範囲を超えていると感じることもあるでしょう。
 
転職先などでトイレ掃除を命じられた場合、断ることはできるのでしょうか。ここでは、予想外の業務を命じられたときの考え方を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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トイレ掃除は断れる可能性がある

使用者は労働者に対して業務遂行に必要な命令や指示をだせます。「労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意」しているからです。これを労働契約といいます。
 
ただし、あらゆる命令や指示に従わなければならないわけではありません。ケースによっては断ることもできます。基準となるのが、労働契約で合意した範囲です。これを超えている場合、命令や指示に従う必要はありません。
 

・納得できないときは労働契約を確認


 
労働契約で合意した範囲は、ケースによりさまざまです。したがって、トイレ掃除を断れることもあれば断れないこともあります。労働契約で合意した範囲は、基本的に労働契約書に記載されている「業務内容」などで確認できます。ここに「経理業務」「総務業務」などの記載しかなければ、断れる可能性があるといえるでしょう。
 
一方で、ここに「清掃業務」や「使用者から指示された業務」などの記載がある場合は、断れない可能性が高いと考えられます。
 

・業務命令に背くと不利益な処分を受ける

トイレ掃除が「業務内容」に含まれている場合、嫌だからなどの理由で断ると不利益な処分を受ける恐れがあります。注意や指導に従わないと、減給や出勤停止、解雇されることも考えられます。トイレ掃除が労働契約で合意した範囲に含まれる場合、基本的に命令に従わなければならないと考えるほうがよいでしょう。このようなケースで断る場合は正当な理由が必要です。
 

労働契約で合意した範囲内でも断れる業務はある

以上からわかる通り、使用者は広範な事柄について業務に関する命令や指示をだせます。労働契約書の「業務内容」に「使用者から指示された業務」などの記載があると、何でも行わなければならないと心配している人もいるでしょう。
 
仮にこのような記載があった場合も、あらゆる業務を行わなければならないわけではありません。法律に反する命令や嫌がらせ、見せしめを目的とする命令、一般的な常識から逸脱するほど過酷な命令などは無効と考えられています。
 
例えば、ミスの責任をとらせるため業務とは関係がない写本を長期間にわたり行わせるなどは、いやがらせを目的とする命令と判断できるため断れる可能性が高いといえるでしょう。
 

トイレ掃除を断りたいときは労働契約を確認

上司から命じられたトイレ掃除は、断れるケースと断れないケースがあります。トイレ掃除が労働契約で合意した範囲に含まれる場合は、断れない可能性が高いと考えられます。「やりたくない」などの理由で断ると、不利益を被る恐れがあります。トイレ掃除を断るときは、労働契約書などを確認しておくことが重要です。
 
また、適切な判断はケースごとで異なることも考えられます。必要に応じて専門家へ相談しましょう。
 

出典

厚生労働省 労働契約法
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 (46)業務命令権
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部