定年後のためにコツコツ貯めよう! 30代の老後資金対策
配信日: 2023.02.28 更新日: 2024.10.10
執筆者:宮野真弓(みやのまゆみ)
FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
子育てファミリーや妊活カップルのライフプランニングを中心に活動しています。
結婚や妊活、出産、住宅購入など人生のターニングポイントにおけるお悩みに対して、お金の専門家としての知識だけでなく、不妊治療、育児、転職、起業など、自身のさまざまな経験を活かし、アドバイスさせていただきます。
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老後資金はいくら必要?
「老後2000万円問題」を機に老後資金への関心が高まり、若い世代でも準備を始めたい、いずれ準備をするために情報を集めておきたい、という方が増えている印象です。では、老後資金はいくら必要なのでしょうか。
2000万円という金額は、夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの無職世帯において毎月5.5万円の不足が発生する(出典:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)平成29年(2017年)」)ことから、老後30年間で約2000万円不足すると試算したものです。この2000万円を、退職金や預貯金、その他金融資産の取り崩しで賄う必要がある、ということです。
ここで注意しておきたいのは、これはあくまで平均値で試算した結果であること、そして2017年の数値であることです。
不安な要素としては、退職金の額は減少傾向にあり、現役世代が期待する金額をもらえない可能性があります。公的年金の額も少子高齢化を考えると減少する可能性があり、支給開始年齢も引き上げられる可能性があります。平均寿命は延びており、その分生活費がかかります。
また、自営業の人などは退職金がなかったり、国民年金のみの受給となったりする点なども考慮する必要があります。
一方で、共働き家庭が増え、退職金が2人分もらえる場合があります。また、老齢厚生年金を受け取れる女性が増え、世帯としての年金額は増える可能性があります。
これらのことを加味し、老後にどんな生活を送りたいのかをイメージしながら、早めに準備を始めることが重要です。
老後資金の準備方法
老後の資金準備は早めに始めるに越したことはないのですが、30代は結婚、出産、教育・養育、住宅購入など、人生の節目となるような大きなライフイベントを迎える人が多い世代でもあります。老後の資金準備を優先するあまり、生活費やライフイベントの資金が不足してしまうようでは困ります。
まずは生活費の1年分を目標に、しっかりと貯蓄をしましょう。そして、ライフイベントに向けた貯蓄とのバランスを考えながら、老後資金の準備も進めましょう。
老後資金の準備に有効な方法を6つご紹介します。
1.預貯金
預貯金は手軽に始めることができ、引き出すのも簡単です。資金の用途を問わないので、急な出費などにも対応できます。積立定期を利用すれば、先取り貯蓄で貯めていくことができます。一方で、金利が低いため、「増やす」ことには向いていません。
2.財形貯蓄
勤務先に財形貯蓄制度がある場合は、それを利用するのもひとつです。給料から強制的に積立ができます。一般財形貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄の3種類があり、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は一定額までは非課税です。金利は低めなので、他の方法と併せて上手に活用しましょう。
3.個人年金保険
民間の保険会社の個人年金保険は、保険料を積み立て、それを将来年金として受け取る商品です。保険料の積立期間は生命保険料控除が受けられます。ただし、中途解約時には元本を大幅に割り込んでしまうため注意が必要です。
4.勤務先の確定拠出年金
勤務先で確定拠出年金に加入している人もいると思います。せっかくの制度なのに利用していないという人はいらっしゃいませんか? この機会にぜひ一度見直しをしてみてください。
5.iDeCo
掛け金を自分で運用し、将来年金として受け取るものです。掛け金が全額所得控除の対象になり、運用益は非課税、年金受取時は「退職所得控除」「公的年金等控除」が適用される、という3つの税金の優遇があり、効率的に資金を運用できます。
ただし、積立時や受取時に手数料がかかる点、60歳までは引き出せない点、商品によって価格変動リスクがある点などには注意が必要です。
6.つみたてNISA
少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。2024年から制度が恒久化され、投資枠も拡大されます。少額からの積み立てが可能で、運用益は非課税、いつでも換金できることが魅力です。ただし、価格変動リスクがある点などには注意が必要です。
7.働く
資産運用とは異なりますが、収入を増やすこともとても効果の大きい対策です。パートや非正規雇用の場合は正社員を目指す、副業を検討する、定年後も働くことを考えるなども検討してみましょう。
30代の方は、ライフイベントが多い一方で、老後資金が必要になるまでにはまだ時間があります。他のライフイベントへの資金準備とのバランスを取りながら、少しでも早く老後資金の準備を始めましょう。時間を味方につけて、税制優遇を活用しながら、コツコツ積み立てるのがポイントです。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)平成29年(2017年)
執筆者:宮野真弓
FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者