更新日: 2024.10.10 貯金
「65歳」から「85歳」まで年金生活の場合、貯蓄はいくら必要?「年収600万円」の会社員のケースで試算
執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種
活動拠点は神戸。FP個別相談や、プロスポーツ選手の資産形成サポートも行っております。プロスポーツ選手に保険、資産運用、支出の見直しなど包括的なアドバイスや、帳簿などの面倒な記帳業務を代行し、本業に集中できる環境作りをサポートします。
【世帯年収600万円夫婦】の年金受給額
定年まで年収600万円(賞与なし)を維持した場合、厚生年金保険料の等級は27、平均標準報酬額は50万円となります。次のモデルケースで、Aさん夫婦のおよその年金額を試算します。
Aさん:第2号被保険者
年齢:65歳
年収:600万円
平均標準報酬額:50万円
等級:27
加入月数:42年(504ヶ月)
Aさんの配偶者:第3号被保険者
厚生年金の受給額は、次の計算式で求められます。
平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数(2003年4月以降)
つまり「50万円×5.481/1000×504ヶ月」の計算になるので、138万1212円の厚生年金を得られることが分かります。この金額に「老齢基礎年金」の満額である79万5000円を加えると、合計217万6212円です。Aさんの配偶者が3号被保険者の場合、老齢基礎年金79万5000円が追加されて、総額が297万1212円、月額24万7601円になります。
仮に、所得税、住民税、社会保険料などが合計で約3万円かかると想定すると、実質的な手取り額はおおよそ21万7601円になる計算です。
65歳から85歳まで年金生活を送るために必要な貯蓄額
次に、65歳から85歳までの年金生活に必要な貯蓄額を算出します。ここでは85歳を基準に計算を進めます(日本人の平均寿命が2021年度時点で男性81.47歳、女性87.57歳となることから)。まずは、老後に必要な月々の生活費を見ましょう。主な生活費の内訳は図表1のとおりです。
図表1
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支より筆者作成
総務省統計局のデータによれば、2021年度の老後に必要な生活費は夫婦2人で25万5100円です。この金額は、消費支出と非消費支出を合わせたものになります。先に述べた年収600万円世帯の年金受給額の実質的手取り額21万7601円から、25万5100円を引くと、毎月3万7499円の赤字が生じます。
これを年間に換算すると44万9988円、20年間で899万9760円の不足額となります。ただし、この金額には介護費用や住宅補修、車の買い替え、家族旅行などは含まれていません。そのため、およそ1000万円を追加で見積もっておくことが望ましいでしょう。
このことから、85歳までには約1900万円の貯蓄が必要だと考えられます。
老後資金はできるだけ早い段階から準備を始めましょう
年収600万円の世帯では、年金の手取り額は21万7601円です。一方、老後に必要な生活費は25万5100円となります。この差額を計算すると、20年間で899万9760円が足りず、介護や住宅補修、車の買い替え、家族旅行などを考慮すると、合計でおよそ1900万円が必要です。
1900万円の貯蓄を目指すには、できるだけ早い段階から準備を始めることが重要です。老後資金に不安を感じる人は、ファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談し、支出の見直しや資産運用を活用して、安心できる老後を迎えられるよう準備を進めましょう。
出典
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種