日本の景気をよくする!? 教育資金の支援拡大の今後の方向性について
配信日: 2018.07.31 更新日: 2024.10.10
日本の景気が良くならない原因の一つとして、教育資金の準備のために30~40代の子育て世代が消費にお金を回せないことが指摘されています。教育資金を国が援助することで、子育て世代の個人消費が活発化するだけでなく、少子化に歯止めをかけることも目標です。
多額な教育資金の準備は大変ですが、政府による支援は今度も拡大していくことでしょう。
Text:前田紳詞(まえだ しんじ)
ファイナンシャルプランナー
日本経済新聞読み方専任講師、ドラッカー学会学会員、前田マネジメント代表、㈱マイビジネスクリエイトオフィス取締役、 NPO法人人財育成支援ネット理事
外資系メーカー、外資系金融機関で勤務後、ファイナンシャルプランナーとして独立。 現在、前田マネジメント代表として企業、金融機関、行政、医療関係機関、研修センター、商工会議所などで講演や研修講師を担当。
幅広い知識や経験を活かし、ファイナンシャルプランナー業務だけでなく人材育成やマーケティングなどのマネジメント研修も行っている。年間講演回数は150回以上。
「教育を通じて人の成長のサポートをする」を理念に、自ら考え行動し人生を豊かにする「ライフマネジメント」の実現を目標に活動している。
http://m-lm.biz
教育資金の公的支援は拡充の方向
「国の教育ローン」の貸し付けを行っている日本政策金融公庫が発表した「教育費負担の実態調査」では、高校入学から大学卒業までに必要な入在学費用は、子供 1 人当たり 935.3 万円でした。
高校入学から大学卒業までに必要な入在学費用
出典元:日本政策金融公庫「平成 29 年度教育費負担の実態調査結果」
教育費の中でも大学進学費用(入学金と在学費用の合計)は国公立大学で約500万円、私立大学理系の場合には約800万円と高額です。早い段階から多額の教育費を準備していくことが大事です。
しかし、ライフプランを考えるには教育資金だけでなく、住宅資金や退職後の生活資金のバランスを保ちながら準備していくことも必要です。
子供が卒業後、返済していく日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度を利用している学生の割合は2.7人に1人。奨学金制度を活用して家計の負担を軽減しているのが実態です。
「ニッポン一億総活躍プラン」では、奨学金制度を充実させていくことが閣議決定されました。
出典元:首相官邸「ニッポン一億総活躍プラン(概要版」
平成28年7月に給付型奨学金の導入や基準緩和、金利の見直しが方針として定められ、全て実行に移されました。
平成30年6月15日に閣議決定された「骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2018)」でも幼児教育の無償化と低所得家庭に対する大学など高等教育の無償化が定められました。
自ら行動しなければ支援は受けられない
人生100年時代構想会議が平成29年12月19日に発表した「人生100年時代構想会議 中間報告参考資料」によれば18歳人口は減少していきます。
出典元:首相官邸人生100年時代構想会議「人生100年時代構想会議 中間報告参考資料」
私立大学の4割強が定員割れで、今後も悪化が予想されます。優秀な人材の確保を目的に、独自の給付型奨学金を取り入れる大学も増えています。企業も、新卒採用数が減少していくことを予想し、企業独自の奨学金を拡大し始めているようです。
長期的には教育費の家計負担は緩和されていく方向です。ただし、大半の奨学金制度は自ら情報を入手し、申請をしなければ受けることはできません。
常日頃からインターネット等を活用して、有利で役立つ情報を入手し、申請期限内に手続きを行うことが大事です。
Text:前田 紳詞(まえだ しんじ)
ファイナンシャルプランナー 、日本経済新聞読み方専任講師、ドラッカー学会学会員、前田マネジメント代表、㈱マイビジネスクリエイトオフィス取締役、 NPO法人人財育成支援ネット理事