更新日: 2024.10.10 家計の見直し

着物から考える賢い消費のしかたとは?

着物から考える賢い消費のしかたとは?
「モノの値段は需要と供給で決まる」ということをご存じの方も多いでしょう。値段の決め方にはさまざまな要素がありますが、個人的に近頃気になるものの1つに“着物の値段”があります。
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

商品に込めた物語の価値は大きい

デパートや老舗の呉服屋さんに行くと、桁違いに高額な着物が売られています。もちろんその値段には、れっきとした理由があります。
 
先日、帯の展示会で作家さんに取材をする機会がありました。作品完成までに多くの工程があり、それぞれに職人さんの高度な技術が必要なこと。また、手間がかかるがゆえに作品に対して熱い思いがあると語っていました。
 
商品を販売する際に、モノではなくストーリーを売るという手法があります。今回の展示会の帯の値段は40万~50万円でしたが、ストーリーに感銘を受けデザインなどが気に入れば、伝統工芸品としての要素も含めて、購入を検討する方もいらっしゃるでしょう。ですが気軽に買える値段ではありません。
 

新品にこだわらない

後日、別の展示会にも取材にいきました。この展示会には新品もありましたが、主にリサイクル着物が多く出品されていました。1万〜3万円ほどの帯や、1万円程度の小物もありました。新品の定価と比べると買い求めやすい値段でほしいものが買えて満足したという方もいらっしゃいました。
 
リサイクルといっても、しっかり検品されていてきれいに洗濯もされていますので、「着物を気軽に楽しみたい」という目的であるとすれば、十分な品ぞろえだったと感じました。
 
買い物は、事前に「買い物の目的」をはっきりさせておくことをおすすめします。例えば今回の着物の場合、実際に着物を着た姿を写真に撮っておくと、手持ちの着物や帯を容易に把握できます。買い足したいものは何かを明確にしておくことが大事だと思いました。
 
普段使いする洋服でも同じことがいえます。お買い得品を目の前にした時、つい必要のないものまで買ってしまうことがあります。帰ってから、「ちょっと合わない」「同じようなものを持っている」となった経験は誰しもがあるはずです。自分のクローゼットに何があるのか、一度全部を出して写真を撮ると良いかもしれません。
 
少々手間ではありますが、和洋を問わず、一度手持ちの衣服をすべて写真に撮って現状把握をしてみると、バーゲンでの失敗をなくせるかもしれません。
 

所有することにこだわらない

浅草などに出掛けると、和服姿の観光客の多さに驚きます。インバウンド客はもちろん、男女を問わず日本人の若年層も和服を楽しんでいます。
 
消費行動は、モノ消費からコト消費、さらにトキ消費に移行しています。「友だちと着物姿の写真を撮りたい→レンタル着物が充実していて、かつ映える場所→浅草」という構図から考えてみましょう。
 
ネットで事前予約しておくと、好きな着物をあらかじめ選ぶことができますし、帯や小物、草履など散策に必要な一式がそろいます。場所やシーズン、お店にもよりますが、数千円程度からで借りられることも多く、その場で着付けもしてもらえることもあります。
 
これまで着物の貸衣装といえば、冠婚葬祭のイメージがありました。花嫁衣装や成人式の振り袖など、事前に試着や打ち合わせをして当日の式典に臨む流れでした。「写真を撮りたい」などという気軽な気持ちでも利用できるシステムになったことで、日常のなかで着物を楽しむ人が増えているのだと感じます。
 
夏になり、花火を見に行く時に浴衣を着ようと考えている人も多いとは思いますが、去年とは違う浴衣が着たいと思うかもしれません。このように一時的に浴衣を利用するというケースでは、レンタルは大変便利です。
 
これまでは、“新品であること”や“所有すること”が主流でした。その結果、たくさんのモノに囲まれた生活を送っていました。しかし今では、新品の服やカバンなどをたくさん持つのではなく、リサイクル品やサブスクを利用しているという人もいらっしゃるでしょう。
 
いろいろな選択肢が増えていくことで、モノとの付き合い方を考える機会になるかもしれません。
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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