使わなくなって残高が0円のままの銀行口座は解約したほうがいい?

配信日: 2023.07.27 更新日: 2024.10.10

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使わなくなって残高が0円のままの銀行口座は解約したほうがいい?
「自宅から近い金融機関」「アルバイト代の振込先」「かっこいいキャッシュカード」など、口座開設のタイミングや理由はそれぞれでしょう。複数の金融機関で口座を保有していることは一般的ですが、なかには残高0円のまま口座を放置しているという人も多いのではないでしょうか。
 
今回は、転居や就職、結婚などにより使わなくなった口座はどうしたらよいのかを考えてみます。それぞれのケースをふまえたうえで、判断の参考にしてみてください。
大竹麻佐子

執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP®認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/

複数口座を保有するメリット

まずは、使わなくなった口座でも、目的をもって保有し続けることを考えてみましょう。
 
「分散」という観点で見ると、複数口座の保有には意味があります。忘れかけていた口座を、長期的な資産形成を目的とした「貯蓄口座」として利用することもひとつの手段です。
 
毎月1000円でも5000円でも無理のない範囲で、一定額の積立預金を設定しておけば無意識のうちにお金を貯めることができます。忘れかけていた、普段使わない口座だからこその活用方法です。
 
「普段の生活に使う口座」「予定外の出費などに使う予備的口座」「教育資金の口座」「住宅関係の口座」「基本的に引き出しをしない口座」といった具合に、目的に合わせて口座を使い分けると、お金の管理がしやすくなります。ただし、口座が増えすぎることで、逆にコントロールできなくなる場合もありますので、自分自身にとっての「適度」をつかむことがポイントです。
 

基本的に、使わないのであれば、解約した方がよい

日々の生活のなかで、ふとしたときに、古い通帳やキャッシュカードが見つかるといった経験がある方も、多いのではないでしょうか。口座開設した当時のことを思い出す人もいるかもしれません。懐かしさとともに、その金融機関に対する信頼や今後の付き合い方について考えてみましょう。
 
軽く考えがちですが、銀行口座の開設および維持は、自分と金融機関との契約です。
 
口座の開設にあたって、申し込みに対し承諾があり、双方の合意によって成り立つものです。つまり、信頼できる金融機関かどうかを判断したうえで「継続する」「継続しない」選択をするべきということです。
 
相手方の金融機関としては、長期間(一般的には10年)にわたって取引のない顧客口座は休眠口座とするものの、勝手に解約することができません。だからこそ、「継続しない」という場合には、口座名義人からの申し出によって解約手続きを行う必要があります。
 

口座の解約手続きは、早い方がいい

口座の開設は、本人確認が可能な必要書類などがそろっていれば、比較的たやすくできます。一方で、口座の解約は、請求する人の証明とともに、請求人が口座の保有者と一致することを確認する必要があるため、開設と比べると必要となる書類もふえ、時間もかかります。
 
また、口座開設当時から時間が経過していると、登録されている氏名や住所、勤務先が変わっているケースも多くあります。登録時に使用した印鑑がない、分からないというケースもありがちです。
 
面倒くさい、時間がないと放置した場合、さらに時間が経過し、さらに手続きが複雑化することに注意が必要です。また、放置すると以下のような事態になることも考えられます。
 

認知症になると……

口座開設当時の住所や勤務先など変更があったとしても、書類をそろえれば解約手続きは可能です。ただし、認知症など自分の意思表示が明確にできない状態になると、自分だけでは、そもそも手続きができません。
 

相続が発生すると……

あまり考えたくないことですが、死亡により相続が発生した場合、たとえ残高が0円であっても、他の口座と同様に、口座は凍結(お金の出し入れができない状態)され、遺された相続人が手続きを行う必要があります。手間と時間をかけて書類をそろえ、銀行で手続きをしたら、残高が0円であったときの相続人の落胆は想像できるでしょう。
 

まとめ

勤務先やアルバイト、生活拠点の変更など、さまざまな理由で金融機関の口座を開設する必要があり、そのまま数多くの口座を保有しているというのはよくあることです。口座を持ち続けることに法律上の問題はありません。
 
また、比較的容易にできる口座開設手続きと比較すると、解約の手続きは、必要となる書類も多く、時間と手間がかかるため、残高0円のまま放置するケースが多いのが実情です。
 
ただし、口座が存在することによって、不要なトラブルに発展することもあり得ます。想定される相続トラブルのほか、使っていない口座が犯罪に利用されるといった可能性もゼロではありません。たとえ残高がなくとも、手間と時間をかけても、自分自身で使わない口座は解約しておく、自分自身の身の回りを整理しておくことをおすすめします。
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士

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