よく聞く「固定残業制」には要注意?転職や就職で固定残業に気を付けるべき理由を解説

配信日: 2023.07.28 更新日: 2024.10.10

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よく聞く「固定残業制」には要注意?転職や就職で固定残業に気を付けるべき理由を解説
就職活動中や転職活動中に求人票を見ていると、給与に固定残業代が組み込まれている求人をよく目にします。固定残業代が支払われるという旨の記載のある求人は、他の求人と比べて提示されている給与が高いように見えます。
 
しかし、このような固定残業制の求人には求人票上からは見えづらい隠れた落とし穴も潜んでいます。そこで、固定残業制の求人を見るときに気を付けるべきポイントを解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

月給に比べて賞与が低くなることがある

一般的に賞与は基本給をベースに計算されることが多いです。例えば、賞与が1ヶ月分支給されると仮定しましょう。月給が基本給23万円となっている方が賞与を1ヶ月分受け取ると23万円の賞与です。
 
一方、月給が基本給20万、固定残業代3万円の合計で23万円の給与形態の場合、1ヶ月分の賞与は20万円とされることがあります。もし、賞与が年2回ある場合、両者の年収差は6万円となります。
 
固定残業代が5万円であれば年収差は10万円というように、固定残業代の有無による賞与の差は大きくなっていきます。固定残業代が賞与の計算に当たってどのように扱われるのか、その確認は大切です。
 

労働時間1時間当たりの単価が低い

月給が基本給のみで20万円(月の労働時間160時間)のAさんと、月給が基本給17万6000円と20時間分の固定残業代2万7500円で合計20万3500円のBさんという場合、労働時間単価は両者同程度に見えますが、実はAさんのほうが高くなります。
 
もしAさんが20時間も残業をしたら3万7500円の残業代が支給され、給与合計は23万7500円と23万円を超えます。結果、Bさんよりも3万円以上も給与が大きくなります。
 
固定残業代は残業をしなくとも残業代が支給されますが、言い換えれば固定残業時間を超える残業が発生しなければ、当然ながらそれ以上の残業代がつくことはありません。つまり実質的な労働時間1時間当たりの単価は同じ給与水準の方に比べて低くなるということなのです。
 

残業前提の業務形態となっていることがある

固定残業制は、残業時間に関係なく支払われるものです。そこで、効率よく仕事をこなせば残業をせずとも残業代をもらえると思えるかもしれません。しかし、そう考えていると後悔する可能性もあります。
 
例えば、会社によっては残業しないと終わらないほどの量の業務を指示されることもあります。仮に仕事を終わらせてもそこからさらに仕事を追加されるといったこともあり得ます。
 
会社側からすれば、残業代を払っている以上はその金額分を働いてほしいと考えるため、そうなったとしても不自然ではありません。
 

固定残業制を悪用している会社もある

会社によっては固定残業代を悪用していることもあるようです。本来であれば固定残業代を上回る残業が発生した場合はその部分について会社は追加支給する必要があります。
 
例えば、3万円分の残業代が固定残業代となっているところ、4万円分の残業が行われた場合、会社は1万円分の残業代を追加支給する必要があります。
 
それを会社によっては「すでに固定残業代で残業代は支払われている」と主張して追加残業代を支払わないということもあるのです。実際、固定残業代を原因とするトラブルは非常に多く、厚生労働省やハローワークからも注意喚起がなされるほどです。
 

固定残業制の求人は内容をしっかり確認しよう

固定残業制の給与形態には注意すべき点がいくつもあります。しかし、中には固定残業制を適正に運営し、労使どちらにおいても良い効果をもたらしている会社もあります。
 
固定残業制の求人のすべてが悪いわけではありませんが、厚生労働省など公的機関が注意喚起するほど問題となっているのも事実です。不要な争いに巻き込まれることのないよう、固定残業制度の求人についてはしっかりと注意をしておくべきでしょう。
 

出典

厚生労働省 若者の募集・求人の申込みをお考えの事業主の皆さまへ 職業紹介事業者の皆さまへ
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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