更新日: 2023.08.18 働き方

お昼休みは「電話番」をしながらお弁当。これって休憩時間として「アリ」ですか? 給与は発生しないのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

お昼休みは「電話番」をしながらお弁当。これって休憩時間として「アリ」ですか? 給与は発生しないのでしょうか?
会社の就業規則では、12時から13時までの1時間は休憩時間、つまりお昼休みと定められています。しかし、顧客からの電話がいつかかってくるか分からないため、電話番をしながらお弁当を食べるなど、なかなか席をはずすことができないという人も多いかもしれません。
 
このような時間も休憩時間とみなされるのでしょうか? 本記事では、お昼休みにおける手待ち時間が休憩時間とみなされるか否かについて確認します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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労働基準法を見てみよう!

労働基準法第34条第3項では、「使用者は、(中略)休憩時間を自由に利用させなければならない」と定められています。そもそも「休憩時間とは、単に作業に従事しない手待ち時間を含まず労働者の権利として労働から離れることを保障されている時間」と定義されています。
 
つまり、電話番という手待ち時間は、休憩時間に含まれず、労働時間に当たるということです。
 

周囲の反応

電話番の時間がいきなり労働時間だといわれた場合、周囲の同僚はどのような反応を示すでしょうか?
 
「電話がかかってこない時間は、スマホとか見れるし問題ないのでは?」「自分のデスクならお昼寝できて良いのでは?」などと思われるかもしれません。
 
しかし、そうした考えは、働き方改革以前の話として、とっくの昔にアップデートしておかなければならない考え方なのです。
 

そもそも労働時間とは

判例では、「労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、(先述の)労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる」と定義しています。
 
それでは、電話番はというと、会社員がボランティアで自社の電話番をするとは考えられませんよね。となると、実は、この昼休みの電話番、実際に電話がかかってくるか否かは別として、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価され、休憩時間ではなく労働時間なのです。
 
この話を聞いた事業主の中には、冷や汗をかき始めた人もいるかもしれませんね(その理由は後ほど)。
 

電話番のほかにありがちな事例

本事例は、お昼休みに電話番をしていたケースを取り上げましたが、そのほかにも、お昼休みに来客待ち、来客対応に従事なども、俗にいう「あるある」のケースではないでしょうか?
 
この昼休みの来客待ちや来客対応も、先の電話番のケース同様、休憩時間ではなく、労働時間に当たります。
 

電話番従事社員が会社に要求できること

お昼休みに電話番に従事していることは、休憩時間ではなく労働時間に当たる、ということによって、当該社員が会社に次のようなことが要求できると考えられます。

・時効が消滅していない期間において、お昼休みに電話番に従事していた総時間の給料または時間外勤務手当を要求することができる(会社には支払い義務が発生している)。
 
・お昼休みに電話番に従事する担当者を輪番制にして、お昼休みを休憩時間として自由利用できるよう、その時間を確保することを要求できる(電話番従事者は、時間をずらして休憩時間を取得する必要がある)。

 

まとめ

お昼休みの電話番(来客待ち、来客対応)は、休憩時間ではなく労働時間であることを理解していただけたでしょうか?
 
働き方改革が始まってから4年以上が過ぎましたが、まだまだ旧習が残っており、お昼休みの電話番などを休憩時間と扱っている会社が少なくないように思います。
 
会社側はもう1度、休憩時間の定義、労働時間の定義を確認する必要があります。さもないと、労働基準監督署の立ち入り検査を受けた際、泣きをみる可能性がありますよ。
 
※ 2023/8/18 記事を一部、修正いたしました。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 労働基準法の施行に関する件(昭和22年09月13日 発基第17号)
独立行政法人労働政策研究・研修機構 (37)【労働時間】労働時間の定義
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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