更新日: 2023.08.21 働き方

毎日残業が当たり前の「中小企業」の社員です。大企業の方が「高収入」かつ「残業が少ない」って本当ですか?

執筆者 : 柘植輝

毎日残業が当たり前の「中小企業」の社員です。大企業の方が「高収入」かつ「残業が少ない」って本当ですか?
「大企業の方が高収入で残業が少ない」というイメージを持っている方はいないでしょうか。
 
筆者の下にも「大企業の方が高収入で残業が少ないって本当ですか?」と質問が寄せられたこともあります。そこで、大企業と中小企業とで、収入や残業時間に差があるのか確認してみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

収入は大企業の方が多い傾向にある

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、企業規模1000人以上の企業の年間収入(きまって支給する現金給与額を12倍し、そこに年間賞与その他特別給与額を加えたもの)は585万4100円となるようです。それに対して企業規模100人から999人の企業は480万9600円、企業規模10人から99人の企業の年間収入は422万9400円となるようです。
 
これを見る限り、企業規模が大きいほど収入が高くなっていることが分かります。業種などによって変わる部分もありますが、基本的には中小企業より大企業の方が高収入といえそうです。
 
資本力やブランド力を武器にした大規模な展開の可能な大企業の方が、中小企業よりも高収入であることは、多くの方にとって想定どおりの結果となるでしょう。
 

残業は中小企業の方が少ない傾向にある

厚生労働省の「我が国における時間外労働の現状」によれば、大企業のうち1ヶ月の法定時間外労働の実績が45時間以下となるのは80%弱となるのに対し、中小企業では90%程度となっています。
 
45時間超50時間以下の事業所も中小企業の方が多くなっており、それ以上の残業時間についても中小企業の方が大企業より少なくなっていることが多いです。
 
各企業の慣習や業界によっても差が出るところではありますが、統計上、残業に関しては中小企業の方が少ないようです。「大企業の方が人も多く設備もそろっており、効率よく業務をこなす体制があるから残業も少ないだろう」と思っていた方にとっては、意外な結果となるでしょう。
 

残業は減らすことができる

残業は個人の行動によって減らすことができます。そのひとつに転職があります。例えば、「我が国における時間外労働の現状」より「1か月の法定時間外労働の実績(事業場割合)」を見ると、「建設業」や「鉱業」「保健衛生業」などが比較的残業の少ない業界と分かります。
 
また、残業の過多については会社の慣習の他、個人の仕事の仕方によるところも大きいでしょう。転職の際、ワークライフバランスを重視した働き方が実現できる企業を選び、さらに効率よく仕事をこなすことでも残業を減らすことができると考えられます。
 
例えば、転職活動では残業が少ない会社のみに応募し、入社後も業務スキルを磨き、素早く仕事を終わらせていく、という具合です。
 
現在の職場で仕事を効率よくこなす、という方法もありますが、「残業して当たり前」の風潮の職場や業界ではどれだけ効率よく仕事をこなしても、早く終わった分次の仕事が舞い込んでくるだけで残業が減らない、という可能性もあります。その点を考えると、残業を減らしたいと強く考えている場合は、ある程度転職を前提に考える必要もありそうです。
 

「まったり高収入」という働き方はそう現実的ではない

大企業なら中小企業よりも残業時間が少なく、かつ高収入であるとは限りません。統計を見る限り大企業は高収入でこそあれ、残業自体は中小企業よりも多そうです。
 
もし、今残業が当たり前でつらい場合、企業規模の大小だけでなく、残業の少ない業界やワークライフバランスを重視している会社に転職するなど、残業を減らすための行動が必要になってくるでしょう。
 
とはいえ、残業が減ればその分収入が減る可能性もあります。その点を踏まえ、転職をする場合、働き方については収入や残業時間を考慮し、後悔しない選択をするようにしてください。
 

出典

厚生労働省 e-Stat 令和4年賃金構造基本統計調査

厚生労働省 我が国における時間外労働の現状

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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