40代・50代で「貯蓄ゼロ世帯」は単身世帯で約36%!? 貯蓄ゼロのまま老後を迎えても暮らしていける? 貯蓄の平均値・中央値についても解説

配信日: 2023.09.01 更新日: 2024.10.10

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40代・50代で「貯蓄ゼロ世帯」は単身世帯で約36%!? 貯蓄ゼロのまま老後を迎えても暮らしていける? 貯蓄の平均値・中央値についても解説
周囲の人々がどのくらいの貯蓄を持っているか気になるものです。40代・50代の約23~36%の世帯では貯蓄がゼロという調査結果が出ています。貯蓄をしなくても老後は生活していけるのでしょうか。本記事では、40代・50代の貯蓄ゼロ世帯の割合やどのくらい資産を保有しているか、そして貯蓄ゼロで老後を迎えると、何が困るのかについて解説します。
石井麻理子

執筆者:石井麻理子(いしい まりこ)

FP2級・AFP

意外に少ない? 40代・50代の貯蓄額

金融広報中央委員会(知るぽると)が行った「家計の金融行動に関する世論調査(令和3年)」によると、40代・50代で金融資産を保有していない世帯の割合は図表1の結果となりました。
 
図表1 40代・50代の貯蓄なし世帯割合
 

 
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査(令和3年)より筆者作成
 
40代・50代で金融資産を保有していない世帯は約23%~36%ですが、裏を返せば約65~75%の人は何かしらの金融資産を持っているということになります。では、どのくらいの金融資産を持っているのでしょうか。40代・50代の平均貯蓄額は図表2の結果となっています。
 
図表2 40代・50代の平均貯蓄額
 

 
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査(令和3年)より筆者作成
 
しかし、図2の金額はあくまで「平均」です。中央値を見ると図表3のような結果となりました。
 
図表3 40代・50代の貯蓄額の中央値
 

 
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査(令和3年)より筆者作成
 
貯蓄額の中央値は、単身世帯の40代では92万円、50代は130万円。2人以上世帯の40代では300万円、50代は400万円。平均と中央値の差額が大きくなっています。図表3の「(参考)60代」を見ると、平均・中央値とも急激に上昇していることから、退職金を受け取ることにより貯蓄額が増えると推測されます。
 
このデータの金額をみると、このままの貯蓄額では退職後に老後資金が不足する可能性が高くなります。40代・50代で老後の貯蓄がないと悩んでいる人は、かなりの割合でいると考えられます。
 

貯蓄ゼロでも老後は生活していける?

では、貯蓄ゼロで老後を迎えた場合は、生活していけるのでしょうか。総務省統計局の家計調査報告「家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職世帯(単身世帯・夫婦2人世帯)では、毎月約2万円の赤字が出ています。
 

【65歳以上無職世帯の平均赤字額(月)】

単身世帯::2万580円
夫婦2人世帯:2万2270円

 
この調査結果から、貯蓄ゼロの場合には「毎月の赤字約2万円をどう工面するのか」という問題が発生します。単純計算すると年間24万円、30年で720万円です。さらに、日々の生活費以外にも、老後に病気やけがをした場合の医療費や入院費、給湯器などの自宅の設備が壊れた時の修理代など、突発的な支出に対応することが難しくなることが考えられます。
 
将来受け取る公的年金の金額により個人差はありますが、日々の生活費だけではなく緊急予備資金として、ある程度貯蓄のある状態で老後を迎えることが望ましいといえるでしょう。自身の年金の受け取り金額は、毎年送られてくる「ねんきん定期便」で確認できます。日本年金機構のホームページで内容の見方も案内しています。
 

まとめ

老後が見えてくる40代・50代。働いている今は、毎月定期的に収入が入ってきます。しかし老後、多くの人は公的年金と働いている間に蓄えたお金を取り崩しながら生活します。貯蓄ゼロのまま老後生活を迎えるのは不安があるため、今から無理のない範囲で家計の収支を見直し、少しずつ貯蓄をしていくことが必要でしょう。
 

出典

金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)

金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)

総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要

 
執筆者:石井麻理子
FP2級・AFP

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