更新日: 2023.09.04 働き方

20代後半のフリーターです。正社員にならずとも、「老後」は生活できますか?

執筆者 : 柘植輝

20代後半のフリーターです。正社員にならずとも、「老後」は生活できますか?
先日、20代後半でフリーターをしている方から「このままフリーターでいてもよいのか」と相談がありました。「フリーターでは老後に生活できなくなる」と語られることもありますが、果たして本当にそうなのでしょうか。フリーターを続けても老後生活していくことができるのか考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

フリーターでも、老後も生活していくことは不可能ではない

ディップ株式会社の調査によれば、2023年4月のアルバイト・パートの平均時給は1236円となるようです。仮にフルタイムで1日8時間、月に21日働くことができれば、その収入は実に20万7648円となります。
 
また、「月収20万円で、23歳から65歳までフリーターとして厚生年金に加入しながら働いた」と仮定して、65歳以降に受け取れる年金額は年額144万円です。月額換算すると12万円です(1997年5月1日生まれ、20歳から22歳までは学生で国民年金加入、と仮定して厚生労働省の公的年金シミュレーターにて試算)。
 
そして、総務省統計局の「家計調査報告(2022年)」によれば、65歳以上の単身無職世帯の1月の支出は15万5495円となっています。毎月3万円から4万円程度の差額は、貯蓄や就労で賄う、節約で生活費を削るなど工夫が必要ですが、統計から推測するに、生涯フリーターでも生活していくことは不可能ではなさそうです。
 

安定性には欠ける

統計から推測して、理論上はフリーターでも一生生きていける可能性があるとはいえ、フリーターは安定性のある生き方とはいいづらいです。
 
基本的に、フリーターには退職金や賞与が支給されない場合がほとんどで、正社員のような大幅な昇給や、転職によるキャリアアップもあまり期待できないでしょう。また、正社員と異なり、時給制であることから、けがや病気で休むとその間は給与が発生しなかったり、仕事が続けられなくなったりする恐れもあります。
 
さらに、フリーターは基本的に、高齢になると次の仕事を見つけるのは難しくなる傾向にあるといわれています。特に、フリーターは代替が利きやすく、若いフリーターに選考で負けてしまう可能性もあり、仕事に困ってしまうことも想定されます。
 
このように、フリーターは総じて不安定な生き方であるといえます。
 

20代後半ならまだ正社員を目指せる

年齢がまだ20代の後半であるならば、今からでも正社員を目指すべきことができるでしょう。未経験の職種や業界次第では、正社員になることも可能である年齢です。このままでも生きていけるとはいえ、不安定なフリーターとしてこの先40年・50年と生きていくよりも、正社員となった方が、安定した生活を送れる可能性が高いでしょう。
 
求人においては、年齢を理由に採用の可否を決定することはよくないとされています。しかし、それでも応募者の年齢を一定の要素として選考を進めている会社が多いのも事実です。仮にこのまま30歳を超えたとして、そこから先は、正社員になるのはどんどん難しくなっていくでしょう。
 
そういったことを考えると、可能であれば20代後半のフリーターは、これから正社員を目指した方がよさそうです。
 

フリーターでも生活できるが可能であれば正社員を目指すとよい

フリーターでも、老後も生活することは不可能でもなさそうですが、安定性には欠けてしまいます。今後フリーターでも生活できるか迷っている状況であれば、今すぐにでも正社員になった方が、より安心して老後を迎えられる可能性が高そうです。
 
もし、今20代後半で、このままフリーターでよいのか不安であれば、貯金などをして老後に備えておくとともに、可能であれば正社員として就労できるよう、就職活動をしておくことをおすすめします。
 

出典

ディップ株式会社 2023年4月度 アルバイト平均時給調査

総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2022年(令4年)平均結果の概要

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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