貯蓄が「3000万円以上」ある高齢者は何割?どうやったら、そんなに貯められる?
配信日: 2023.09.14 更新日: 2024.10.10
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
貯蓄が3000万円以上ある高齢者は2割近くも存在!
「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によれば、貯蓄(金融資産)を3000万円以上有する高齢者は単身者の場合、60代で16.9%、70代では16.1%となっています(金融資産を保有していない世帯を含む)。
2人以上の世帯について見ていくと60代の20.3%が、70代では18.3%が3000万円以上の貯蓄を有しているようです。ここから、高齢者のうち16%から20%程度の方が、貯蓄を3000万円以上有していることが推定されます。
しかし、3000万円以上の貯蓄を有していることが当たり前というわけではありません。単身者のうち、60代の貯蓄額の中央値は300万円、70代でも485万円です。2人以上の世帯においては60代の貯蓄額の中央値は700万円、70代でも800万円です。
一方で、2人以上の世帯においては貯蓄が0円(金融資産非保有世帯)という世帯も、3000万円以上の世帯と同等以上の数で存在しています。また、単身世帯においては貯蓄0円という世帯が、貯蓄3000万円以上の世帯の倍以上存在しています。
統計を見る限り、世の高齢者においては、3000万円以上の貯蓄を有している余裕のある高齢者と、全く貯蓄がない高齢者との間で、二極化が進んでいるようです。
どうしたら3000万円ものお金をためられるのか
高齢者のうち2割近い方たちが3000万円もの貯蓄を有している理由は、いくつか考えられます。
3000万円ものお金をためるのは、一朝一夕にできるものではありません。多くの方がある程度若い頃からコツコツとためてきたのでしょう。実際、2人以上の世帯を例に見ていくと、貯蓄額は、平均額と中央値共に、年齢を重ねるごとに少しずつ増えていっています。
そして、もう1つ大きな理由と考えられるものに、退職金の存在があります。同じく2人以上の世帯を例に見ていくと、3000万円以上の貯蓄を保有している世帯の割合は50代では10.8%に留まるのに対し、60代になると20.3%と倍近くに増加しています。
一般的には60代で定年退職を迎えて年金生活に入るため、そこで退職金を受け取り、貯蓄額が大きく増加しているものと推定されます。
現実的にはコツコツと資産形成していくのが理想
東京都産業労働局の調査によれば、定年退職した方に支給される退職金の平均額は、学歴問わず1000万円前後となっています。ここから、退職金だけで3000万円もの貯蓄を作ることは難しいことが想定されます。
高齢者になるタイミングで3000万円もの貯蓄を有していることを目標とするならば、現実的にはなるべく若い段階から資産形成を行っておく必要があります。
2人以上の世帯について、保有している金融資産の種類を見ていくと、60代・70代共に預貯金以外に、生命保険や投資信託、株式など幅広い資産で貯蓄していることが分かります(金融資産を保有していない世帯を含む)。
特に投資信託などを用いた資産形成は、3000万円の資産を形成するのに非常に効果的です。参考までに、毎月5万円ずつ投資信託で積み立てながらそれらを年利3%で運用すると、30年間で元金と利息の合計は2900万円を超え、3000万円の貯蓄が現実的なものになってきます。
まとめ
貯蓄を3000万円以上持っている高齢者の世帯は、2割近く存在していることが推定されます。そのうち一定部分は退職金であることが推測されますが、生命保険や、投資信託なども保有していることから、3000万円以上の貯蓄を保有する高齢者世帯は若いうちから資産形成を行ってきていることが推測されます。
もし「自分が高齢者になったときには、3000万円の貯蓄を保有していたい」と考えるのであれば、リスクの許容度と相談しつつ、若いうちからコツコツと資産形成に励んでいくことをおすすめします。
出典
知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)令和4年各種分類別データ
知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)令和4年各種分類別データ
知るぽると (参考)家計の金融行動に関する世論調査(総世帯)令和4年調査結果
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版) Ⅲ.第8表 モデル退職金
金融庁 資産運用シミュレーション
執筆者:柘植輝
行政書士