更新日: 2023.09.22 働き方

会社側から、固定残業代分の「30時間分」は働くよう言われていますが、0時間でも問題はないんですよね?

執筆者 : 柘植輝

会社側から、固定残業代分の「30時間分」は働くよう言われていますが、0時間でも問題はないんですよね?
給与に固定残業代が含まれている給与形態で働いていると、上司から「固定残業代の時間分は働くように」と言われることもあるようです。しかし、固定残業代の時間分働くほど仕事がない、という場合もあるかもしれません。
 
もし、固定残業代が設定されている給与形態で働いているにもかかわらず、実際の残業時間は0時間となる場合、問題はないのでしょうか。確認していきましょう。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

固定残業代の性質は?

まずは、固定残業代の法的性質から確認していきます。固定残業代とは、毎月一定の残業代が、実際の残業時間にかかわらず支払われることを指す言葉です。支給される残業代は「固定残業手当」と呼ばれることもあります。
 
例えば、給与に「30時間分」として6万円の固定残業代が組み込まれていれば、実際には1ヶ月に20時間の残業しかしていなくても、30時間分の残業代6万円が固定残業代として満額支払われます。
 
なお、実際の残業時間が、固定残業時間として定められた時間を上回った場合、差額の残業代が支給されなければなりません。例えば、30時間分の固定残業代として6万円支給されているところ、実際にはその月に40時間残業した場合、差額の10時間分に相当する金額が別途、残業代として上乗せ支給されます。
 

固定残業は30時間分で、実際は残業0時間でも、大丈夫?

固定残業代の存在は、設定した時間分の残業を義務付けるものではありません。そのため、固定残業代が30時間分付いている給与形態でありながら、毎月の実際の残業時間は0時間が続いても、法律上は問題ありません。
 
従って、単に会社側から「固定残業代が付いているから」という理由で、固定残業時間30時間分は働くよう言われたとしても、必要ないのに無理やり働く必要はありません。
 
しかし、仕事が残っている場合は別です。自分の任されている仕事が残っているにもかかわらず、定時で帰宅することを繰り返している場合は、「会社からの指揮命令に違反している」として固定残業代の問題とは別に懲戒処分の対象となることもあるため、注意してください。
 
会社側が固定残業代分働くよう言っているのであれば、もしかすると自分が気づいていないだけで、仕事が遅れていたり、仕事が完全に終わっていない状態になっていたりするかもしれません。
 

固定残業代の存在は残業を強制するものではない

固定残業代の存在は残業を強制するものではないので、固定残業30時間分が給与内に設定されているにもかかわらず、実際の残業時間は0時間であっても、基本的に問題ありません。
 
しかし、仕事が残っているのに残業を全くしない状態が続いていると問題になる場合もあります。
 
固定残業代の分も働くかどうかは、自身の仕事だけでなく周囲の様子を見つつ、法律以外の面も鑑みて決めるべきなのかもしれません。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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