更新日: 2023.09.25 働き方

毎日「定時退社」する同僚に腹が立ちます。固定残業代の分を働かなくてもいいんですか?

執筆者 : 柘植輝

毎日「定時退社」する同僚に腹が立ちます。固定残業代の分を働かなくてもいいんですか?
固定残業代が支給されている職場では、残業について問題となることが珍しくありません。そのひとつが「固定残業代の分の残業をすべきなのか」という問題です。
 
今回は、固定残業代の分を働かずに毎日定時退社している同僚がいると仮定し、その是非について考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

固定残業代の性質

固定残業代とは、実際の残業時間の有無にかかわらず、原則支給される残業代のことをいいます。例えば、「固定残業代30時間分として4万8750円支給」と給与規定で定められている場合、実際の残業時間が20時間であり、30時間を下回っていたとしても、基本的には固定残業代4万8750円が満額支給されます。
 
しかし固定残業代は、残業代を常に一定とするものではありません。固定残業代の計算の基礎となった残業時間を上回る残業を行った場合、超過分は追加で支給されます。
 

固定残業代は残業を義務付けるものではなく、同僚の定時退社は基本的に問題ない

固定残業代が支給されていることは、残業を義務付けるものではありません。例えば、30時間分の固定残業代が支給されているからと、必ず30時間の残業を毎月行わなければならないわけではないのです。そのため、同僚が固定残業代を満額もらいながら、毎日定時退社を繰り返していても、基本的には問題がありません。
 
ただし、仕事が残っているなど業務上残業が必要であるにもかかわらず、定時退社を繰り返しているのであれば、問題となる可能性があります。本来であれば業務の都合上残業すべきであるところ、理由なく定時退社を繰り返している場合、いずれ会社から残業命令が下されるでしょう。
 
それに従わなければいずれ、就業規則などに基づき懲戒処分が下されたり、業務に対する姿勢が評価されず昇進や賞与において査定が低くなったりする、といった不利益が生じると想定されます。
 
この点は固定残業代の支給の有無とは関係なく、会社と従業員との雇用関係に基づくものになります。それを踏まえると、固定残業代の有無と、実際に残業をするべきかどうかは別問題と考えるべきでしょう。
 

同僚の定時退社にもやもやしているときは?

同僚の定時退社に腹が立つほどもやもやしているのであれば、その旨を上司に相談してみてください。そのせいで自身に業務の負荷がかかっているのであれば、それも併せて相談するべきです。そうすることで、上司からの指導により、同僚が必要な残業をしてくれるようになる可能性があります。
 
ただし、その同僚が優秀で、自分の仕事をしっかりこなし、残業も必要ない状態である場合は、たとえ上司に相談したとしても、残業させることは難しいでしょう。固定残業代が残業を強制するものではない以上、会社側の対応にも限界があるわけです。
 
そういった場合、同僚の行動を気にするよりも、自身が仕事をより早くこなせるようにしたり、自身の考え方に近い会社へ転職したりする方が現実的です。
 
また、「同僚は同僚」と割り切るのも有効かもしれません。自身の残業時間が固定残業代以下に収まっているのであれば、その分得をしているのは事実ですし、超過分があったとしても追加で支給される残業代によって、全体としての自身の収入は増えているからです。
 
例えば、固定残業代30時間分として4万8750円支給されているところ、実際は20時間しか残業していないのであれば、固定残業代によって10時間分の1万6250円も得をしていることになります。そのように考えれば、もやもやも軽減されるかもしれません。
 

まとめ

固定残業代の存在は、残業を強制するものではありません。仮に同僚が定時退社をし、自身は固定残業代の分の残業を行っていても、業務進行状況などによっては問題のない可能性が高いです。
 
もし、固定残業代の分を働かない同僚について悩んでいるときは、一度上司に相談してみてください。問題があれば、会社側からしかるべき対応をしてくれるはずです。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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