更新日: 2023.10.12 働き方

「正月休み」も「お盆休み」も有休で賄うよう指示されてきました。これって、不当ではないですか?

「正月休み」も「お盆休み」も有休で賄うよう指示されてきました。これって、不当ではないですか?
一般的に正月休みやお盆休みといえば、「特別休暇で、有給休暇(有休)とは別に付与される」というイメージが強いでしょう。しかし、一部の企業では労働者が、この休暇を「有休」として処理するよう指示されているケースがあります。このような状況は法的に許されているのかどうか、考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

有給休暇の使用時季は原則労働者に決定権がある

前提として有給休暇を使うかどうか、そしてその使用時季の決定は労働者側に決定権があります。労働者側から「この日に有給休暇を使用したい」と申し出があれば、原則として会社はそれを拒否することや、別の時季に変更させるようなことはできません。
 
ただし、会社側にも時季変更権が一定の範囲で認められています。それは事業の正常な運営が妨げられてしまう場合です。例えば、一度に多くの労働者から同じ日の有給申請があると、その日は仕事をできなくなってしまいます。このような場合は例外的に、会社から申請を別の日に変更するよう求めることができます。
 

一定の範囲で会社が有休の使用を指示することもできる

「年次有給休暇の計画的付与」と呼ばれる仕組みを用いることで、有給休暇のうち5日を超える部分は、会社があらかじめ定めた計画に従って、従業員に付与させることができます。それによって、正月休みやお盆休みを有休で賄うことも可能になります。
 
ただし、それには就業規則にその旨を規定し、労使協定を締結することが必要となります。会社側が一方的に決めることはできません。
 
就業規則においては、有給休暇の項目にて「労働者代表との間に協定を締結したときは、その労使協定に定める時季に計画的に取得させることとする」などといった定めが必要になります。
 
また労使協定においては、労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数を代表する方と会社との間で、計画の内容について書面にて締結する必要があります。就業規則の整備と労使協定の締結という2つの手続きを経ていなければ、有休で賄う指示は不当である可能性が高いでしょう。
 

以前は特別休暇だったのに、今年から有休扱いされた場合は、どうすればいい?

2019年度以降、有給休暇の年5日間の取得が義務付けられてから、一部の中小企業は有給休暇の扱いに悩んでいるといわれています。「休みを取らせると、人手不足や売り上げ減少などにつながり、会社の経営を維持できない」などといったことが原因となるようです。
 
そこで一部の会社では、これまで会社が「特別休暇」として就業規則で規定していた正月休みやお盆休みを5日分減らし、そこに有休を充当するように指示する、という方法がなされているようです。
 
しかし、その方法は違法となる可能性が高いです。このように、休日を減らすことは「不利益変更」に該当します。休日を減らし有休を使用させることは、基本的に労働者との合意が必要です。
 
一方的に会社側からの指示で特別休暇を減らして、その分を有休で賄うよう指示することは、不当である可能性が高いです。一度、就業規則の内容と、労使協定の有無・内容について確認してみてください。
 
それでもなお、疑問が残る場合や、法に反しているのではないかと疑問に感じる場合、全国の労働基準監督署に設置されている「労働時間相談・支援コーナー」へ相談をしてみてください。そうすることで、有効なアドバイスを得られる場合や、疑問が解決できる場合があります。
 

まとめ

正月休みもお盆休みも法で取得が義務付けられているものではありません。それらの休暇を、会社からの指示で有給休暇にて賄うことも、直ちに違法となるわけではないでしょう。
 
ただし、以前は有休とは別の「特別休暇」として付与されていたものをなくし、正月休みやお盆休みは有給休暇を充当するという場合、就業規則や労使協定が正しく運用されていないと、不当となる場合があります。
 
もし、有給休暇について疑問に思うことがあれば、まずは会社に相談し、それでも改善がなされないときは、管轄となる労働基準監督署へ相談してみてください。
 

出典

厚生労働省 年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説
厚生労働省 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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