手取り17万円で、月の残業時間は20時間です。これって「一般的な会社員」の働き方でしょうか?

配信日: 2023.10.15 更新日: 2024.10.10

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手取り17万円で、月の残業時間は20時間です。これって「一般的な会社員」の働き方でしょうか?
SNSの発達によって、他者の働き方がよく目につくようになりました。そのため、自分より労働時間が短いにもかかわらず給与が高い人を知ることが増え、悩む人も少なくないようです。
 
そこで、手取り17万円、残業20時間という働き方を例に挙げ、それが「一般的な会社員」の働き方といえるのか、考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

統計上の「一般的な会社員」の働き方は?

一般的な会社員の労働時間と月収について、「令和4年賃金構造基本統計調査」の第1表「年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」より、企業規模10人以上の企業(産業計・男女計・学歴計)の数値を参考に見ていきます。
 
この表によると、平均年齢は43.7歳であり、きまって支給する現金給与額は平均しておよそ34万円です。額面で34万円とすると、手取り換算でおよそ26万円から27万円程度になるでしょう。また、超過実労働時間数は平均12時間です。
 
ここから考えると、月に20時間残業しても手取りは17万円だけという働き方は、一般的な会社員の働き方とはいえないでしょう。給与の額に対して、労働時間が長い働き方といえます。
 
また、高卒で働きだして間もない18歳ないし19歳と比べても、一般的とはいえません。この場合、きまって支給する現金給与額はおよそ21万1000円、超過実労働時間数は9時間です(いずれも区分は「男女計・高校」)。9時間の残業に対して手取りは17万円前後であり、先に挙げた働き方と手取りがほぼ変わらないにもかかわらず、残業時間は半分以下、ということになります。
 
ここまでのデータを踏まえると、「手取り17万円で残業時間20時間」という働き方は、一般的な会社員のものとはいえないでしょう。
 

その働き方に納得ができているか

働き方を考えるに当たって重要な点に「今の働き方に納得ができているか」というものがあります。
 
「今の職場の雰囲気が楽しく、仕事内容も気に入っていて、手取りも自分にとって不自由なく生活できる額である」というような場合は、仮に手取りが17万円で残業時間が20時間であっても、無理に働き方を変える必要はないでしょう。
 
確かに、一般的に見れば、手取り17万円では生活が厳しいかもしれません。地域にもよりますが、現状の手取り17万円よりも高い収入は、転職によって実現できる可能性があるでしょう。しかし、統計上のデータや周囲の人の状況だけを見て働き方を変えてしまうと、今よりも悪い方向に向かってしまう可能性があります。
 
例えば、人によってはプライベートを重視しており、「額面で34万円もらって月に40時間残業するくらいなら、手取り17万円で残業20時間の方がよい」と思うこともあるかもしれません。また、「仕事の内容が高度化するくらいなら、低い手取りでもよい」と思う人もいます。
 
それらを踏まえ、今一度、今の働き方に自分の中で納得できているか、考えてみるとよいかもしれません。
 

「自分の働き方は一般的ではない」と思い、納得できないときは?

もし、「自分の働き方は一般的な会社員のものではない」と納得できないときは、働き方を変える必要があるでしょう。
 
そのために有効な方法の一つとして、転職があります。労働時間やそれに対応する給与は、業界や職種はもちろん、地域や勤務先の企業によっても異なる部分があり、転職なしでは大きく状況を変えることが難しい場合もあるからです。
 
ただし、転職をしても必ずしも望む働き方を実現できるとは限らないため、慎重に考える必要がある、という点には注意してください。
 

まとめ

手取り17万円で月の残業時間が20時間という働き方は、状況や働き方によりますが、一般的な会社員よりはあまりよくない環境で働いているといえるでしょう。
 
もし、今の働き方に不満や疑問を感じるのであれば、転職を視野に入れつつ、働き方について一度考えてみることをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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