「世帯年収600万」で子どもが3人います。大学への進学費用として、いくらずつ貯金しておけば安心ですか? 児童手当があっても厳しいでしょうか?

配信日: 2023.10.25 更新日: 2024.10.10

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「世帯年収600万」で子どもが3人います。大学への進学費用として、いくらずつ貯金しておけば安心ですか? 児童手当があっても厳しいでしょうか?
「子どもはぜいたく品」という言葉が浸透し始めています。
 
祖父母世代は兄弟姉妹が5人や10人という人も珍しくない時代でしたが、2022年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供数の平均)は「1.26」となっており、今や3人も子どもがいると「すごいね」と言われる時代になっています。ぜいたく品といわれる理由は、大学進学まで多くの費用がかかるためです。
 
そこで本記事では、世帯年収が平均をやや上回る600万円の家庭で、3人の子宝に恵まれた場合の大学への進学費用について見てみます。大学進学費用3人分、一体いくら貯めたら安心なのでしょうか。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

大学にかかる費用

大学への進学費用は子ども1人あたりいくらかかるのでしょうか。日本政策金融公庫の調査をもとに、入学費用と在学費用とに分けて解説します。
 

入学費用は81万円

入学費用とは大学入学時にかかる費用で、学校納付金、受験費用、滑り止めなどで合格したものの入学しなかった学校への納付金をいいます。令和3年度の調査では国公立大学で約67万円、私立大学文系で約82万円、私立大学理系で約89万円となっており、入学時の1回だけにかかる費用ですが、大きな負担ですね(図表1)。
 
図表1
 
図表1
 
日本政策金融公庫 令和3年度教育費負担の実態調査結果
 

在学費用は149万円

次に図表2は大学1年間にかかる在学費用です。大学でかかる授業料などの学校教育費と、塾などの家庭教育費の合計になります。国公立大学で約104万円、私立大学文系で約152万円、私立大学理系で約183万円となっており、4年間分にするとそれぞれ414万円、608万円、約733万円です。
 
図表2
 
図表2
 
日本政策金融公庫 令和3年度教育費負担の実態調査結果
 
大学4年間にかかる費用を合計すると、国公立大学約481万円、私立大学文系約690万円、私立大学理系約822万円となります。国公立に進むか、私立にするかで数百万円の違いになることが分かります。
 

仕送りがある場合は年間平均95万円

大学への進学費用は学費だけではありません。自宅外通学になると仕送りが必要になるからです。自宅外通学者への仕送り額は、年間平均95万8000円(月額7万9000円)となっており、4年間では約383万円にもなります。国公立大学の学費と同等ですね。
 

子ども3人の必要貯金額

子どもがどんな進路を選んでも大丈夫なようにしておくためには、私立大学理系で自宅外通学の場合を想定しておきましょう。この場合、学費約822万円と仕送り約383万円で合わせて約1205万円の資金が必要となります。子ども3人分となると約3615万円です。
 
受給した児童手当を使わないまま貯金すれば約200万円になるので、給与からは子ども1人当たり1000万円を貯めるという考え方ができます。3人分で3000万円になります。
 

世帯年収600万円で貯められるのか

世帯年収600万円で、子ども3人のために3000万円を貯められるでしょうか。結論からいうと厳しいです。例えば夫の年収500万円、妻の年収100万円とした場合、手取り額は500万円程になります。生活費が30万円とすると、余る金額は140万円なので、全額を18年間貯金したとしても2520万円です。途中で住宅や車の購入、旅行などがあれば2000万円にも到達しないでしょう。
 

まとめ

世帯年収600万円で3人の子どもを大学に通わせる学費を準備するのは厳しいかもしれません。夫婦の働き方を変えるなどできる努力をしたうえでも足りない分については、奨学金の利用を検討するとよいでしょう。
 
子どもが3人いる生活はお金の面では大変かもしれませんが、子は宝だと考え、「貯金しなければ」と気負い過ぎず、親としてできる最大限の努力をしたらよいのではないでしょうか。そんな親の後ろ姿を見て育てば、子どもも理解してくれるはずです。
 

出典

厚生労働省 令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況

日本政策金融公庫 教育費負担の実態調査結果

 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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