更新日: 2024.10.10 働き方
会社で必要な資格があります。試験勉強時間は残業代に含まれますか?
今回は、勤務時間外に試験勉強を行う時間に対して、残業代が支払われるケースと支払われないケースについて解説します。
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
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試験勉強の時間に残業代が支払われるケース
試験勉強の時間に対して残業代が支払われるためには、試験勉強の時間が「労働時間」として扱われ、かつ「勤務時間外」のものであることが必要となります。
労働時間として扱われるためには
業務命令により、会社が受験対策として行う講習会や勉強会に参加する場合は、試験勉強の時間が「労働時間」として扱われます。
また、資格取得のため受験を命じられている場合は、講習会や勉強会に参加することが命じられていなくても、「受験の命令とともに、講習会や勉強会に参加することが黙示的に命じられている」と判断されるため、試験勉強の時間が労働時間として扱われます。
ただし、受験することや、講習会や勉強会へ参加することが社員の自由意思に委ねられている場合は、労働時間として扱われることはありません。
勤務時間外として扱われるためには
勤務先の会社において時間外労働に関する規定(※1労働基準法第36条)が定められており、前述したとおり労働時間として扱われる講習会や勉強会が勤務時間外に行われた場合、受験勉強の時間に対して残業代(割増賃金)(※1労働基準法第37条)が支払われます。
試験勉強の時間に残業代が支払われないケース
職業能力開発促進法には、事業主は労働者に係る職業能力の開発および向上の促進に努めるものと規定されており、必要な職業訓練を行うこと、労働者が職業能力検定を受ける機会を確保することなどが努力義務として定められています(※2職業能力開発促進法第4条)。
そもそも、会社が行う、キャリアアップのための講習会や勉強会は、会社が望む資格取得者を増やすことを目的として行われます。
そして、会社が勧める資格試験に合格した場合、昇格や昇給することができる場合があります。ただし、業務命令によらずに、社員が自分の意志でこれらの講習会や勉強会に参加する場合は、その試験勉強のための時間が労働時間として扱われるとは限りません。
まとめ
会社が資格取得のために行う講習会や勉強会には、資格の取得を命じられた社員が受講するものと、自らのキャリアアップを目的として希望する社員が参加するものがあります。
試験勉強の時間に残業代が支払われるケースは、業務時間外に行われかつ業務命令に基づく講習会や勉強会に参加するときに限られます。
ただし、残業代の支払われない、キャリアアップを目的とした講習会や勉強会であっても、その費用は会社が負担しているわけですので、積極的に参加するとよいでしょう。
出典
(※1)e-Gov法令検索 労働基準法
(※2)e-Gov法令検索 職業能力開発促進法
※2023/11/28 記事を一部修正いたしました。
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士