更新日: 2023.11.17 働き方

母が60歳以降「コンビニ」で働いていますが、扶養に入っています……。アルバイト代はいくらまでなら稼げますか?

執筆者 : 柘植輝

母が60歳以降「コンビニ」で働いていますが、扶養に入っています……。アルバイト代はいくらまでなら稼げますか?
60歳以上の親を扶養に入れている家族の方は「親の収入」を気にされているでしょう。収入が一定額を超えると、親が自分の扶養からはずれてしまうからです。しかし、どれだけ収入があると扶養からはずれるか、正確に把握している人ばかりではありません。
 
そこで、60歳以上の親は、いくらまでアルバイトで稼いでも問題ないか、母親がコンビニでアルバイトをしている方を事例として、考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

60歳以上で社会保険の扶養に入れるのは、年収180万円がライン

扶養には「社会保険上の扶養」と「税制上の扶養」があります。
 
60歳以降の方の場合、社会保険上の扶養には、収入でいえば、年間収入180万円未満であれば入ることができます。この年間収入とは、アルバイト代だけでなく公的年金などそのほかの収入を含みます。
 
その点をふまえると、もし、アルバイトだけで稼ぐのであれば年間180万円、月々15万円までなら扶養に入りつづけることができます。
 
ただし、年金をうけている場合は、その額の分だけ、社会保険の扶養の範囲内で稼ぐことができる金額は少なくなります。例えば、年金収入が年間70万円ある場合、アルバイト代は年間110万円までしか稼げないということです。
 

税制上の扶養は、年金を受けとっていないならば103万円がライン

税制上の扶養は、社会保険上の扶養とは別に設定されています。税制上の扶養に入るには、合計所得金額が48万円以下であることが要件とされています。合計所得金額とは、給与所得や雑所得、事業所得など各種所得を合計したものです。
 
アルバイトの収入は給与所得に該当します。給与所得は、合計所得金額を計算する際、収入から55万円の給与所得控除を差し引いて算出します。
 
そのため、母親が年金を受けとっておらず、収入源がアルバイトのみであれば、年収103万円以下が税制上の扶養に入れるラインになります。なぜなら、103万円から給与所得控除55万円を差し引くと48万円となるからです。目安として月額換算すると、8万5833円までなら、アルバイトでお金を稼いでも扶養に入りつづけられます。
 

年金を受けとっていると、税制上の扶養のラインは変わる

もし母親が年金を受け取っているのであれば、税制上の扶養のラインが103万円よりも低くなる可能性があります。なぜなら、合計所得金額は年金収入も含んで考えるからです。
 
年金収入を合計所得金額に組み入れる際は「公的年金等控除」という控除を差し引くことができます。
 
公的年金等控除の額は、65歳未満、かつ受けとる年金額が年間130万円以下であれば、60万円です。65歳以上の場合、年金収入の額が330万円以下までであれば、控除は110万円となります。つまり、給与と年金、それぞれが各控除から、はみ出る部分の合計を48万円以下に抑えていれば、扶養に入りつづけることができるのです。
 
例えば、65歳で月々7万円の年金を受けとっている場合、79万円までであれば、アルバイトで稼いでも扶養に入りつづけられます。また、65歳未満で月4万円の年金を受けとっている場合、公的年金等控除の額の範囲内なので、アルバイトでは103万円までなら稼いでも扶養に入りつづけられます。
 
なお、ここでいう「年金収入」には、非課税となる遺族年金や障害年金は含みません。
 

まとめ

60歳以降、アルバイトで働いている母親であっても、年金とアルバイト代の合計所得金額が48万円以下であれば、扶養に入りつづけ、社会保険や税負担を軽くすることができます。
 
扶養に入りつづけるには、収入をしっかり管理しておくことが大切です。「気づいたら親が扶養の範囲を超えるほどの収入を得ていた」ということにならないよう、親としっかりと話し合い、扶養の範囲内でのアルバイトとなるように気を付けておきましょう。
 

出典

国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 合計所得金額
国税庁 No.1180 扶養控除
日本年金機構 所得金額の計算方法
日本年金機構 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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