育児時短就業給付(仮称)について検討されている案
育児時短就業給付(仮称)で検討される案の方向性として、厚生労働省の資料では「柔軟な働き方として、男女ともに、時短勤務を選択し、所定労働時間(又は日数)が減少することに伴う賃金の低下を補い、育児・家事を分担できるようにする」と示されています。
具体的には、以下のようなもの提案があります。
被保険者の要件は、現行の育児休業給付と同様(開始日前2年間にみなし被保険者期間が12ヶ月以上あること)としてはどうか。
柔軟な働き方を支える観点から、給付対象となる時短勤務の労働時間(又は日数)について、制限を設けないこととしてはどうか。
男女ともに時短勤務を活用した育児とキャリア形成の両立を支援し、休業よりも時短勤務を、時短勤務よりも従前の所定労働時間での勤務することを推進する観点から、就業促進的な給付設計とし、時短勤務中の各月に支払われた賃金額の一定割合を支給することとしてはどうか。
給付水準を設定するに当たっては、以下の点を考慮することとしてはどうか。
●職場を支えている他の労働者の理解を得ながら、希望する者が気兼ねなく時短勤務を取得できるようにすること。
●他の給付(高年齢雇用継続給付)と同様に、給付額と賃金額の合計が時短勤務前の賃金を超えないようにすること。
出典:厚生労働省 「これまでの議論の整理と見直しの方向性(育児休業給付等)」
これらの提案のなかで考え方として最も重要な部分は、雇用保険に加入している男女が対象となっている点です。夫婦で育児・家事を行い、同時にキャリア形成にも支障のないよう配慮して、働きながら子育てができる環境を整えようとしていることが見て取れます。
これを現実的なものにするために、時短勤務の労働時間や日数に上限を設けない、時短勤務中の賃金額に一定の割合を上乗せして支給する、給付額と賃金額の合計が時短勤務前の賃金を超えないようにバランスを取る、といった方向性で検討を行いながら課題の解決につなげようとしているようです。
簡単にまとめると時短勤務をした場合、(1)労働時間などに制限がなくなることで、より柔軟な働き方ができる、(2)勤務先から支払われる給与が減ったとしても、国からの給付があるので実質的な収入は減らない、というのが要点になるでしょう。
このように時短勤務を利用することで、男女が育児・家事と仕事を両立できるようになれば、労働者にとって育児時短就業給付(仮称)は非常に有意義な制度になるといえます。
ただし、職場での制度への理解がどこまで進むかという問題もあります。収入や働き方の面で子育てを支援する制度ができたとしても、職場の周知がなければ浸透するのは難しいでしょう。また、人手不足の問題から、現実的には制度を利用しづらいという意見が出ることも当然考えられます。