更新日: 2023.12.16 貯金

退職時点で貯蓄が「1000万円」ある人の割合は? 2000万円の貯蓄をするにはどうすればよい?

執筆者 : 柘植輝

退職時点で貯蓄が「1000万円」ある人の割合は? 2000万円の貯蓄をするにはどうすればよい?
老後不安から「せめて退職までに1000万円貯めたい」と思っている方の話は、インターネット上で多く見受けられます。苦労して1000万円を貯めても「次は2000万円貯めて、より安心したい」と思う方もいるようです。
 
そこで、退職時点の貯蓄について、世間ではどれくらいの額であることが多いのか、そして2000万円貯蓄をするにはどうすればいいのか、考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

退職時点で貯蓄が1000万円ある人の割合は少なくない

退職時点で貯蓄を1000万円保有している人は、意外にも少なくありません。令和4年の「家計の金融行動に関する世論調査」によれば、60歳代で金融資産を1000万円以上保有している世帯の割合は、52.7%となっています。さらに、60歳代の世帯全体の25%が3000万円以上の貯蓄を保有しており、1000万円を大きく超えた額の貯蓄があることも珍しくはないようです。
 
その理由にはさまざまなものが考えられますが、特に大きなものとしては、退職金の存在が挙げられます。60歳代は、一般的な企業における定年退職の時期です。そのため、退職金が支給され一気に貯蓄額が増えたということが考えられます。
 
実際「令和3年賃金事情等総合調査」によれば、定年退職によって支給される退職金の額は、令和2年度1年間(決算期間)において、平均1872万9000円となっています。これをみると「貯蓄を1000万円どころか3000万円以上保有していることも珍しくはない」という統計の結果にも納得がいきます。
 

2000万円の貯蓄をするにはどうしたらいいのか

2000万円の貯蓄を実現させる方法は、いたってシンプルです。節約して生活費を浮かせ、貯蓄をするのです。退職金の額にもよりますが、若いころからコツコツ貯蓄していれば、退職金と合わせて2000万円を貯蓄することは、十分実現可能な範囲になります。そのため、できるだけ早い段階から準備していくことが大切です。
 
とはいえ、低金利が続く日本の銀行では、貯金をしてもお金は預けた金額以上に大きく殖えたりしません。むしろ、物価の上昇などにより、実質的な価値は減っていきます。
 
そこで、効率よく2000万円の貯蓄を実現させたいのであれば、貯金するだけではなく、資産形成も並行して行うべきです。最近ではiDeCoやNISAなど、税制優遇を受けながら効率よく資産形成のできる制度が整っています。1000万円、2000万円と大きな額での貯蓄を望むのであれば、貯金以外にもそのような制度を使って資産形成することで、より効率的に貯蓄ができます。
 

必ずしも無理に2000万円貯める必要はない

一時期、いわゆる「老後2000万円問題」が世間を騒がせたことから「老後のためにも、退職時点で2000万円の貯蓄をしなければ」と過度に焦ったり不安になったりしている方も少なくないでしょう。しかし、そのような心配をする必要はありません。
 
確かに、1000万円よりも2000万円の貯蓄があった方が、老後はより安心できるということに変わりはありません。しかし、老後に必要な金額はさまざまです。年金だけで生活できるという方もいれば「生涯働くから2000万円も必要ない」という方もいます。
 
もし、1000万円の貯蓄では足りないと考え、2000万円を貯蓄したいと思っている場合、一度、本当に2000万円が必要なのか、今の生活費から老後の生活費を試算してみるといいかもしれません。
 

まとめ

統計上、60代の半数以上が1000万円以上の貯蓄を保有していることから、1000万円の貯蓄があることは特段珍しいことではないことが分かりました。また、必ず2000万円の貯蓄が必要というわけでもなく、必要な老後資金の額は世帯によってさまざまです。
 
少ない負担感で効率よく資産形成するためにも「1000万円や2000万円が必要」と闇雲に貯蓄するのではなく、老後資金としていくら貯蓄すべきか、ある程度現実的な目標を立て、その金額に向かってiDeCoやNISAを利用しながら貯蓄していくことをおすすめします。
 

出典

知るぽると (参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和3年以降)
厚生労働省 令和3年賃金事情等総合調査 調査結果の概要
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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