固定残業代は何時間分までだったら「ホワイト企業」? 何時間を超えると多いの?

配信日: 2023.12.24 更新日: 2024.10.10

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固定残業代は何時間分までだったら「ホワイト企業」? 何時間を超えると多いの?
固定残業代が導入されていると「ブラック企業ではないか」と過度に警戒する方がいます。しかし、固定残業代があるからといって、それが一概に「悪」とは限りません。そこで、固定残業代の基礎となる残業時間が何時間までだと「ホワイト企業」で、逆に何時間を超えると「ブラック企業」といえるのか、考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

固定残業代の導入されている企業が「ブラック」だと言われる理由

固定残業代の導入されている企業が「ブラック企業だ」と言われるのには、いくつか理由があります。
 
1つは、「固定残業代」という仕組みの悪用です。固定残業代とは、一定時間分の残業代があらかじめ給与に組み込まれている給与形態です。仮に、実際の残業時間が固定残業代の計算の基礎となる時間を下回っても、固定残業代が満額支給されます。
 
例えば、毎月の固定残業代が「20時間分で2万5000円」としましょう。この場合、実際の残業時間が0時間でも20時間でも、固定残業代は2万5000円支給されます。
 
しかし、固定残業代を超える残業があれば、別途残業代が追加支給されなければなりません。本来ならば20時間を超えた場合、1時間当たり1250円の残業代が支給されるべきところ、全く残業代の追加支給がされない、という悪用をされていることもあるのです。
 
また「残業が20時間以内であれば、全く残業しなくても、20時間きっちり残業しても、同じ2万5000円の残業代しか支給されない」というところもポイントです。制度上は問題なくとも感覚的には今ひとつ、ふに落ちず、法律に違反している「ブラック企業」のように感じる人もいるかもしれません。
 

ブラックでなくとも、労働者に不利な給与形態になっていることもある

固定残業代は、適正に運営されている限りは合法かもしれません。しかし、固定残業の時間が法定残業時間(基本的には45時間)スレスレに設定されていることや、50時間や60時間といったように法定残業時間を超える時間に設定されていることもあります。
 
実際に毎月法定残業時間の上限を超えている場合はともかく、固定残業代として設定するだけなら、直ちにそれが違法になるわけではありません。固定残業代の基礎となる時間が実際の残業代より少なければ、得をしているように感じられるかもしれません。
 
しかし企業によっては、固定残業代によって総支給額を高く見せ、基本給を下げることを狙っている場合もあります。そのように労働者に不利な給与形態となっていることもある点には、注意が必要でしょう。
 
さらに、一般的に賞与や退職金は、基本給を基礎に算定されます。つまり、基本給が少ないと、その分賞与が下がります。それゆえ、固定残業代が存在していることで、月収が同じ人と比べて賞与が低い分、年収や退職金が下がることもあるのです。
 
例えば、月収30万円の人が1ヶ月分の賞与を受け取ると30万円になります。しかし、月収30万円のうち5万円が固定残業代となっていると、1ヶ月分の賞与の額は25万円となってしまいます。
 
その点を考えると「ホワイト企業」であれば、固定残業代の基礎となる時間を大きくは設定しないと思われます。
 

「ホワイト企業」といえる一つの目安は25時間

もし「ホワイト企業」について、残業時間が平均より多いか少ないかで定義するのであれば、「25時間」という目安が挙げられます。
 
OpenWorkが運営するサイト「働きがい研究所」で公表された「日本の残業時間 定点観測(2023年11月9日発表)」によれば、2020年1月から2023年9月までの平均的な残業時間は、おおよそ毎月24時間前後です。そこから考えると、固定残業代の基礎となる時間が25時間未満であれば「ホワイト企業」といえるでしょう。
 

まとめ

固定残業代の有無で一概にその企業が「ホワイト」か「ブラック」かを判断するのは、早計かもしれません。しかし、固定残業時間数は労働者にとって、勤務先が「ホワイト」かを判断するための、一つの指標にも用いることができます。
 
もし残業時間や、給与のうち固定残業代の占める割合で「ホワイト」かを判断するのであれば、25時間を目安にするといいでしょう。
 

出典

OpenWork 働きがい研究所「日本の残業時間 定点観測」詳細データ
 
執筆者:柘植輝
行政書士
 

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