体調が悪く会社を休みましたが、インスタグラムを更新したら「ずる休み」と言われ、懲戒処分されました。妥当な判断なのでしょうか……?
配信日: 2023.12.25 更新日: 2024.10.10
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
懲戒処分はどんなもの?
懲戒処分とは、会社など使用者が職場内の秩序を維持するために設けた規定に違反した場合に下される罰則の一つです。多くの場合、就業規則に懲戒処分の規定が定められています。
一般的には、下記のような事項が懲戒処分事由になると定められています。
●職務怠慢
●業務命令違反
●私生活上の不法な行為
●職場規律違反
●重大な経歴詐称
懲戒処分が下されると、昇進や昇給に響くだけでなく、減給や解雇など、労働者にとって重大な処分となる可能性があります。
そのため、懲戒処分は簡単には下せません。懲戒処分を下すには、労働者の行為の性質や態様に、懲戒に処するだけの事由があることが必要です。そのためにも、就業規則などで懲戒処分の根拠や事由が明確になっており、実際にそれに沿って下された処分に相当性がなければなりません。
SNSの更新を理由に懲戒は妥当?
基本的に、本当に体調不良で休んでしまったときにインスタグラムなどSNSを更新した程度では、懲戒処分とはならないでしょう。確かに仕事を休んでいるにもかかわらずSNSを更新していれば「仮病を使って休んでいた」と思ってしまう人もいるかもしれません。仮病で休み、遊んでいたとなれば「職務怠慢や規律違反などで懲戒もやむなし」と考える方もいるでしょう。
とはいえ、先に見たとおり、懲戒処分を下すには相応の理由が必要です。「本当に体調が悪くて休んだときに、たまたま体力が回復したタイミングでSNSを更新してしまった」という程度であれば、懲戒処分は妥当ではないと考えられます。
ただし、普段から欠勤を繰り返している場合や、SNSに投稿した内容から、明らかに仮病でさぼって遊んでいることが分かってしまう場合など、内容によっては懲戒処分が妥当とされる可能性もあります。
特に懲戒処分について、就業規則では「素行不良や社内の秩序を乱したとき」が該当すると定められているのが一般的です。実際に、厚生労働省の提示する就業規則のモデルケースにも、同様の旨が記載されています。
なお、普段のあなたの仕事への態度などから、職場の人がそのSNSでの投稿を見て「素行不良」「職場の秩序を乱している」と判断されることもあります。そうなると、懲戒処分もやむなしとされるかもしれません。いずれにせよ、仕事を休んだ日はSNSの投稿を控えることをおすすめします。
もし懲戒処分になってしまったときは?
万が一、体調不良で休んだ日にSNSへ投稿したことを問題視され、懲戒処分となってしまったときは、どうすればいいのでしょうか。
神奈川県の資料によれば、処分の理由を確認し、それに納得できなければ会社に対して処分の撤回を求めるべきであるとされています。
また、社内に労働組合があればそちらを頼ったり、場合によっては労働審判や裁判を起こしたりすることも有効なようです。
まとめ
体調が悪く会社を休んだとき、たまたまインスタグラムなどのSNS更新が見つかり、それをずる休みと指摘されたとしても、それだけを理由にした懲戒処分は、妥当であるとはいいきれないでしょう。仮病の常習犯である、旅行に行っている、など度が過ぎない限りは、懲戒とまではいかないことが一般的と考えられます。
もし、懲戒処分を受けてしまい、妥当であるか悩むときは、一度各都道府県の労働センターなどに相談してみてください。
出典
厚生労働省 モデル就業規則
かながわ労働センター こんな懲戒処分は有効か
執筆者:柘植輝
行政書士