更新日: 2024.10.10 貯金
旧姓名義の「残高0円」の通帳をいくつも見つけました。解約手続きが面倒なので通帳を「破棄」すれば大丈夫ですか? 口座を放置するのは危険でしょうか…?
本記事では、使わない口座をそのまま放置することのリスクについて解説します。
執筆者:山田麻耶(やまだ まや)
FP2級
口座を放置するリスク
前の会社の給与振り込み口座として作ったが転職後使わなくなった、引っ越し前にその銀行が近くにあってよく使っていたが引っ越し後使わなくなった、お得なキャンペーンにひかれて作ったがその後使わなくなった……このような理由で、何となく金融機関の口座を作ったものの使わなくなってしまい、そのまま放置している人も多いかもしれません。
しかし「残高が残ってないから」「旧姓の名義で面倒だから」などと放置していると、思わぬ事態になりかねません。
休眠預金になるリスク
休眠預金等活用法により、10年以上取引のない銀行など金融機関の口座の預金は「休眠預金」として扱われ、民間公益活動に利用されます。休眠預金の対象となるのは、銀行の普通預金や定期預金、郵便局(ゆうちょ銀行)の通常貯金や定期貯金、定額貯金、信用金庫の普通預金や定期積金などです。
この休眠預金等活用法は2018年1月に施行されたもので、2009年1月1日以降の取引から10年以上取引のない預金が対象となります。10年間、取引などがなく休眠預金となったお金は、金融機関から預金保険機構に移管され、民間団体を通じて、子どもや若者の支援、生活困難者の支援、地域活性化支援の3分野において、NPO法人などの民間団体が行う公益活動に活用されます。
休眠預金になったとしても預けていた現金の引き出しは可能ですが、金融機関に通帳や取引印、本人確認書類などを持参して手続きをしなければなりません。長い期間取引のない口座から預金を引き出すには、時間がかかる可能性があります。
休眠預金になりそうな口座があると、金融機関から通知が届きます。しかし預金残高が1万円未満だと通知は送付されません。また残高が1万円以上あっても、金融機関に登録している住所が現住所と異なると通知が届かず、休眠預金になるリスクがあります。
不正利用されるリスク
何らかの方法で口座情報を入手した第三者が、決済サービス事業者などを通じて銀行口座から不正な出金を行う事件が多発しています。犯罪に使用された疑いのある口座は警察からの情報提供により凍結されます。
普段使っている銀行口座であれば、身に覚えのない出金があった際にはすぐに気付けるので、金融機関や警察に問い合わせるなどして対処することができます。しかし放置している口座に出金があった場合、気付くのは困難でしょう。
自身が直接犯罪に関わっていなくても、銀行口座の不正売買など何らかの疑いを持たれる可能性があります。犯罪に関与していないと証明するには時間と労力がかかりますし、一定期間ほかの銀行口座も使えなくなる恐れがあります。こういった理由からも、使わない金融機関の口座は早めに解約するのがおすすめです。
原則として使わない口座は解約する
引っ越しや転職などさまざまな理由で口座が増え、ついそのまま放置してしまうことはよくあるケースでしょう。
しかし口座を放置すると、休眠預金として扱われるようになったり不正利用されたりするリスクがあります。休眠預金になったとしても、手続きは面倒にはなりますが引き出しは可能なので、そこまで実害はないと思う人もいるかもしれません。しかし、不正利用など意図しないトラブルに巻き込まれると、ほかの口座も使えなくなるなどの危険性が高まります。
いつの間にか自分の口座が犯罪に使われていたという事態を避けるためにも、たとえ残高がなくても、使っていない口座があれば放置せず、きちんと解約手続きをするようにしましょう。
出典
政府広報オンライン 放置したままの口座はありませんか? 10年たつと「休眠預金」に。
執筆者:山田麻耶
FP2級