更新日: 2024.01.05 貯金

50代独身でタンス預金が「2000万円」程度あります。1つの銀行に預けても問題ないでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

50代独身でタンス預金が「2000万円」程度あります。1つの銀行に預けても問題ないでしょうか?
給料をもらったら銀行に預けておき、必要に応じて現金を引き出すのが一般的な対応でしょう。しかし、銀行に預けずに自宅でタンス預金をしている人も一定数いるのではないでしょうか。
 
長年にわたってタンス預金を継続して2000万円程度になった場合、一つの銀行に預ける際には銀行破綻時の預金保護について理解を深めておいてください。金融庁「預金保護制度」によると、保護対象は「1金融機関1預金者あたりの元本1000万円までと、破綻日までの利息など」と定められているからです。
 
本記事では、2000万円程度のタンス預金を1つの銀行に預ける際の問題点などを解説します。
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タンス預金は自宅で貯めている現金を意味する


タンス預金とは、銀行などに預けないで自宅で貯めている現金を意味します。必ずしもタンスの中ではなく、金庫や本棚、床下収納といった自宅内のいずれかの場所に保管していればタンス預金と見なしていいでしょう。
 
いつでも必要なタイミングで現金を用意できるうえ、銀行へ現金を預けたり、引き出したりする手間もかかりません。また、ATMを利用する際の時間外手数料や引き出し制限も気にしないで済む方法です。
 

銀行へ預け入れした金額が1000万円を超えると破綻時に補償を受けられない

仮にタンス預金が2000万円程度あった場合、それらを一つの銀行に預けることは可能です。しかし、ペイオフ(預金保護)で補償してもらえる上限は1000万円である点に気を付けなければなりません。
 
ペイオフとは、銀行などの金融機関が破綻した際の破綻処理方式の一つです。普通預金や定期預金といった利息の付く預金に対し、1金融機関1預金者あたりの元本1000万円までと、破綻日までの利息などが保護されます。
 
保護の基準を超えた分については、破綻した銀行の財産の状況に応じて支払われますが、一部支払われない可能性も高いです。タンス預金2000万円を銀行に預けて破綻した場合は、1000万円損をするケースもあり得ると認識しておきましょう。
 
預金保護の詳細は表1のとおりなので、銀行にタンス預金を預ける際の参考にしてください。
 
【表1】
 

預金の種類 保護の範囲
預金保険の対象となる預金 当座預金、利息の付かない普通預金といった決済用預金 全額保護の対象
利息の付く定期預金、定期積金、普通預金といった上記以外の一般預金など 1金融機関1預金者あたりの元本1000万円までと、破綻日までの利息などが保護
預金保護の対象にならない預金 外貨預金、譲渡性預金、無記名預金、架空名義の預金、他人名義の預金、募集債および保護預かり契約が終了した金融債など 全額保護の対象外

 
※金融庁「預金保護制度」をもとに筆者作成
 

複数の銀行に分けて破綻時に備えられる

タンス預金が2000万円程度あるなら、ペイオフの観点から考えると複数の銀行に分けて預け入れをしたほうが破綻時に備えられます。
 
決済用預金に1000万円、定期預金や普通預金といった一般預金に1000万円を預け入れるのであれば銀行を分けずに済みますが、将来的に超低金利の状況に変化があり、金利が上昇した際には決済用預金に多額のお金を預けることで損失を被るだけです。
      

破綻時の補償以外にもタンス預金には注意点がある

高額のタンス預金を銀行に預けることで破綻のリスクを考えなければなりませんが、自宅でタンス預金のままにしていても以下のようなトラブルが起こる可能性が高いです。
 

●盗難の被害リスク
●紛失や家族に処分されるリスク
●相続時にトラブルが起こるリスク

 
それぞれについて解説します。
 

盗難の被害リスクが高い

自宅に高額な現金を保管しておくと、盗難の被害リスクが高いです。空き巣に入られて現金を全部持っていかれたとしても、損失は補償されませんし、戻ってくる可能性は極めて低いでしょう。また、火事や地震、台風による水害などの理由で消失するケースも考えられます。
 

紛失や家族に処分されるリスクが高い

自宅に保管していたタンス預金を紛失、家族に処分されるといったリスクも想定しておいてください。外から現金だと分からなければゴミと判断されて捨てられる、または自分で捨ててしまう可能性も高いです。また、自分が高齢化した際にタンス預金の保管場所を忘れたり、保管していたはずの場所になかったりするなどのケースも考えられます。
 

相続時にトラブルが起こる場合がある

自分が亡くなった際に、遺族がタンス預金を見つけられないケースも想定できます。タンス預金が見つからないまま相続税を納付し、後で発覚すれば修正の申告を行わなければならないので注意が必要です。
 

リスク回避のためにもタンス預金ではなく銀行へ預けることを検討しよう

タンス預金を銀行へ預けず自宅に保管しておくことも可能ですが、さまざまなリスクがあることを想定しなければなりません。盗難や家族による処分、紛失してからでは、せっかく貯めたタンス預金が無駄になるだけです。
 
タンス預金を銀行に預ける際には預金保護の問題点もあるため、対応に注意する必要はあります。しかし、盗難や紛失などの被害に遭うリスクは低く安全です。高額なタンス預金を保有している場合は、この機会に銀行への預け入れを検討してみてください。
 

出典

金融庁 預金保険制度

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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