更新日: 2024.10.10 働き方
会社のルールで1月は「有休取得」が禁止されています。繁忙期が理由だそうですが、本当に諦めるしかないですか? 学生時代の友人と「スキー旅行」に行きたいです…
本記事では、繁忙期を理由に有給休暇取得を拒むことが許されるのか、解説します。
執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
有給休暇は労働者が自由に取得できる
有給休暇の取得は労働形態にかかわらず、全労働者に与えられた権利です。全労働日の8割以上出勤していれば、雇用開始後6ヶ月後に年次有給休暇が付与されます。1週間の所定労働日数が5日以上かつ30時間以上の労働者の付与日数は10日間です。
労働者は有給休暇を自身が指定する日に取得できます。労働基準法第39条に「有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。」と記載されていることが根拠です。
会社は時季変更権を持つため有給休暇の取得日変更が可能
労働基準法第39条には、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」という文言があります。一般的に「時季変更権」と呼ばれる会社側の権利です。
1月が繁忙期で有給休暇を取得することが「事業の正常な運営を妨げる行為である」と判断されれば、「1月は有給休暇取得禁止」が合法といえそうですが、実際はどうでしょう?
「繁忙期だから」だけでは時季変更権行使の要件に当てはまらない
時季変更権が行使できる条件は極めて限定されており、単に「繁忙期だから」という理由で行使できるものではありません。有給取得者が同時期に集中した場合などには時季変更権を行使する余地はあります。
しかし、今回のケースは繁忙期であることだけを理由に有給休暇の取得を拒んでいるため、時季変更権の濫用にあたる可能性が高いでしょう。
繁忙期であってもまずは有給休暇を申請する
時季変更権とは、会社が有給休暇の時期の変更をお願いする権利です。本来、「時季変更権」を理由に有給休暇の申請自体を拒むことはできません。まずは有給休暇の申請をして、本当に希望日に休めないのか話し合うことが大切です。
有給休暇取得を理由に不利益な扱いをすることは違法
有給休暇を取得したことで、査定やボーナスを下げるなどの不利益な扱いをすることは禁止されています。同様に有給休暇を取らないことを理由に査定やボーナスを引き上げることも許されていません。
会社の意に沿わない取得だからと心配する必要はないのです。有給休暇が取得できるのであれば安心して申請しましょう。
会社も自分も納得した上で有給休暇を取得することが大切
会社には有給休暇の時季変更権はあるものの、繁忙期が理由で取得を拒否することはできません。有給休暇は労働者の権利です。休みたい理由があるならば、有給休暇を申請しましょう。
もちろん、繁忙期に有給休暇を取得することは会社や同僚の仕事に大きく影響します。円満に有給休暇を取得したいならば、前もって有給休暇を取得することを伝え、部署内で仕事を調整するなどの準備をしておくのがよいでしょう。職場全体の負担を減らそうとする行動が、スムーズな有給休暇取得につながるはずです。
出典
東京労働局 しっかりマスター労働基準法-有給休暇編-
e-Gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 リーフレットシリーズ労基法39条
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士