30歳独身ですが、貯金額が「500万円」に到達しました。あと何円貯金すれば、老後は一般的な生活ができますか?
配信日: 2024.01.18 更新日: 2024.10.10
そこで、30代独身で500万円の貯金を有していると仮定し、あと何円貯金すれば老後に独身でも一般的な生活ができるか、考えてみました。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
30歳時点で貯金額500万円は多い? 少ない?
まずは、30代の平均的な貯金額がどれくらいになるのか、考えていきましょう。
「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」によれば、30歳代の単身者のうち、金融資産保有世帯における金融資産保有額の平均は741万円、中央値は270万円であることが分かりました。
貯金以外の金融資産の額にもよりますが、500万円という貯金額は、中央値から考えると、30歳時点では周囲と比べて大きな額であるといえるでしょう。
また集計範囲を、金融資産を保有していない世帯を含むデータに広げると、平均値は494万円、中央値は75万円となります。
全体で見ても、30歳時点で500万円もの貯金を有している方は大きな額の貯金を有しているといえるでしょう。
あと何円貯金すれば老後は生活できる?
では、30歳時点で貯金額500万円を有しているとして、あと何円の貯金があれば、老後に単身での生活が送れるか考えてみます。
正直なところ、ただ老後の生活を送るだけであれば、貯金が0円でも生活することはできます。不足が生じても、年金と就労による収入で、必要な生活費を補えばいいだけだからです。
では視点を変えて、平均的な収支での生活を送るために、いくら貯金があればいいかを考えていきます。
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要」によれば、65歳以上の単身無職世帯の場合、生活費には毎月2万580円の不足が生じているようです。仮に65歳で退職して年金生活に入り、90歳まで生きると仮定すると、不足分の総額は617万4000円です。
「老後に単身である」という条件付きですが、統計上は既に貯めてある500万円に加えて、あと120万円ほど貯金すれば、平均的な老後の生活を送ることができそうです。ただし、上記調査結果は年金収入が13万4915円得ていると仮定した場合です。厚生年金に加入している期間が短いなど、将来の年金支給額に期待ができない場合は注意が必要です。
もし「生活を安定させる」という意味で、年金収入を加味せず貯金だけで生活しようと思ったら、25年間でおよそ4700万円もの貯金が必要となります。
老後資金を効率よく用意するなら、貯金だけでなく資産運用も併用を
まだ30歳であれば、老後までには20年、30年と時間があります。この場合、単に貯金するだけでなく、貯金のうち一部だけでも資産運用することをおすすめします。なぜなら、資産運用をすることでお金がお金を生み出す可能性があり、貯金をするよりも効率よく老後資産を形成できるといわれているからです。
金融庁の「資産運用シミュレーション」を利用して計算してみましょう。仮に30歳から30年間、毎月3万円ずつ貯金をすると、総額は1080万円です。
それに対して30年間、毎月3万円を、年利5%で運用しつづけたとしましょう(全世界型の投資信託を想定)。すると、最終的には1080万円の元本に加えて、1416万8000円もの利益が生まれます。そして、元利の合計は2497万円ほどになります。貯金した場合と比較して、2.5倍近い額を確保することができるわけです。
ただし、資産運用は常に右肩上がりで資産が増えるわけではありません。景気や社会の変化などに応じて、資産額が減ったり増えたりを繰り返し、短期的には資産が10%以上下落することも、逆に増加することもあります。
とはいえ、長期的に見れば今回のシミュレーションのように、最終的には資産が増加していくことが見込まれます。そのため、資産運用については長い目で考えることが大切です。
まとめ
将来も独身であり、老後は自分一人で生活できればいいというのであれば、老後までに620万円ほどあれば、平均的な支出額と年金とで生活していくことができそうです。
しかし、まだ30歳時点であれば、今後ライフプランや社会構造が大きく変わることもあります。
今後柔軟に対応ができるよう「あと何円貯金すればいい」と考えるのではなく、老後に向けて人生設計を行い、その中で「自身の目指すライフプランにおいては、お金がいくら必要だ」と考え、老後資金を貯めていくといいでしょう。
そうすることで、常に変化に応じて必要なお金を用意することができるはずです。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要
金融庁 資産運用シミュレーション
知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降) 各種分類別データ(令和4年)表番号3.4
執筆者:柘植輝
行政書士