うちの会社では「当番制」で週に1回15分早出をしてオフィスをかるく掃除していますが、これって勤務時間ですか?

配信日: 2024.02.02 更新日: 2024.10.10

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うちの会社では「当番制」で週に1回15分早出をしてオフィスをかるく掃除していますが、これって勤務時間ですか?
会社によっては、当番制で週に1回というように、始業時間前に出社して掃除をすることが暗黙の了解になっている場合があります。そもそも始業時間前に出社して掃除をする必要はあるのでしょうか。
 
また、始業時間前の掃除が労働時間と見なされて、残業代をもらえるか気になるところでしょう。本記事では、労働時間の定義をはじめ、始業時間前の掃除は労働と見なされるのか、残業代は発生するのかなどについて解説します。
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労働時間の定義とは?

たとえ週に1回15分であっても、始業時間前に出社して掃除をしていれば労働時間として見なされます。厚生労働省の労働条件に関する総合情報サイト「厚生労働省 社会人として働き始めてからの労働法」によると、どこからどこまでが労働時間なのかは以下のとおりです。


・実際に作業する時間や会議に参加する時間
・作業前の準備や作業後の片付け、掃除をする時間
・参加を実質的に強制された教育や研修を受けている時間
・事業所内で作業着(制服)の着用を義務付けており、その着替えにかかる時間など

掃除の時間は労働時間に含まれるため、賃金が発生する時間と考えていいのです。
 

法定の労働時間を超えた場合は残業代が発生

始業時間前の掃除が労働時間に該当し、かつ法定労働時間を超えた場合は残業代発生の条件に該当します。法定労働時間は、原則として1日あたり8時間、1週間当たり40時間までで、朝や夜などの時間帯は問われません。
 
※出典:厚生労働省「労働時間・休日」
 
また、掃除だけでなく、朝礼や会議、着替えや業務上必要な作業が理由で法定労働時間を超えた場合も同様に残業代の発生対象です。
 

自主的に掃除を行っている場合は残業代が発生しない

始業時間前の掃除が使用者の指示ではなく、自主的に行っているものであれば残業代は発生しない点に注意してください。労働法では、労働時間を「明示・黙示を問わず使用者の指揮命令下にある時間」と定義しているからです。
 
※出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
 
この場合の使用者とは、労働基準法で「労働者を使用する立場にある人物」「労働の対価として賃金を支払う人物」が該当します。
 

残業代を支払ってもらえないときの対処法

未払い分の残業代が発生している場合、会社との交渉を最優先に行ってください。会社が交渉に応じない、残業代の発生を認めないといった場合は、労働基準監督署や弁護士への相談も検討してみましょう。
 
未払い分の残業代を請求する際には、残業の実態を証明できる証拠をそろえて提出し、請求期間があることに注意が必要です。
 
労働基準法第115条(時効)賃金請求権の消滅時効期間の延長)では、賃金請求権の消滅時効期間(残業代請求の時効)を5年間(旧法では2年間)に延長しつつ、当分の間はその期間を3年間と定めています。
 
どのような理由があるにせよ、賃金請求権の消滅時効期間を経過したら、未払いの残業代を請求できないので注意しましょう。
 
※出典:厚生労働省「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」
 

会社と交渉する

会社に未払いの残業代を支払ってもらえるように交渉してみてください。労働基準法119条によって、時間外労働や深夜労働、休日労働の割増賃金を支払わなかった場合、その会社や経営者、場合によっては直接指揮命令をする責任者に対し、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
 
ただし、単に交渉するのではなく、タイムカードや勤怠記録、業務日誌といった残業時間の証明が可能な証拠も提出しましょう。
 

労働基準監督署に相談

会社に未払いの残業代の支払いについて交渉したにも関わらず、応じてもらえない場合は労働基準監督署への相談を検討してください。
 
労働基準監督署は「労働基準法違反を監督する国の機関」で、労働基準法違反について捜査を行う権利を有しています。会社が労働基準法違反を起こしている場合、労働基準監督署から是正勧告を受けたり、行政指導の対象になったりするケースもあり得るでしょう。
 

弁護士に相談

未払い分の残業代の請求について、労働基準監督署以外に弁護士へ相談することも可能です。最終的に訴訟を起こしたり、起こされたりした場合、労働問題の法律に強い専門家にサポートしてもらうのが有効な解決方法となるでしょう。
 

早出の掃除に対する適正な残業代を受け取ろう

当番制で始業開始時間前に出社して掃除を行うのが、自らの意思ではなく、会社側の指示なら労働時間と見なされて残業代の発生対象です。法定労働時間を超えた分に対する残業代を支給しないのは、労働基準法違反に該当します。
 
始業開始時間前に出社して労働を行ったにも関わらず、残業代が支給されていない場合は、請求手続きが可能です。ただし、賃金請求権の消滅時効期間は当分の間、3年間なので、手続きを進めるのであれば早いタイミングで行うことをおすすめします。
 

出典

厚生労働省
未払賃金が請求できる期間などが延長されています
社会人として働き始めてからの労働法 テーマ5-3
労働時間・休日
労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

e-GOV 法令検索 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法 第百十九条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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