更新日: 2024.02.13 働き方

【とてつもなくブラック!?】採用内定を丁寧にお断りしたところ「損害賠償責任を課す」と脅されました。本当にそんなことあり得るのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

【とてつもなくブラック!?】採用内定を丁寧にお断りしたところ「損害賠償責任を課す」と脅されました。本当にそんなことあり得るのでしょうか?
「企業からの採用内容を辞退したら損害賠償を請求される」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。
 
「内定辞退は法律上、問題のある行為なのか?」「どのような理由があっても損害賠償請求されるのか?」など、不安に思う人も多いはずです。
 
本記事では、内定および内々定の段階で採用内定を辞退した場合の違法性についてご紹介します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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内定辞退は契約違反に該当するのか?

採用内定は、労働者と企業との間で労働契約が締結されたことを意味する場合が多いため、労働者側からの一方的な破棄は「契約違反になる可能性がある」と考えられます。
 
しかし、民法第六百二十七条に「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる」とあるように、法的には労働者による労働契約の解約が認められているのです。
 
解約の申し入れをしてから2週間が経過すると契約が解消されます。
 
つまり、内定を辞退して労働契約を解消することは、契約違反には該当しないと考えていいでしょう。
 

内定辞退によって損害賠償を求められる可能性はある?

内定を辞退することで、その企業に対して選考費用や機会損失などの損害を与えることになる場合もあります。
 
その場合は「著しく信頼関係を損ねる」などの事由があると判断され、企業から損害賠償を求められる可能性もあるので注意が必要です。
 
ただし、労働契約法第三条にあるように、労働契約は労働者および使用者の合意に基づいて締結されるものであるため、労働者の意思に反して契約の履行を義務づけることはできないとされています。
 

内々定の辞退は契約違反にならない?

内々定の段階では「労働契約が成立している」とは認識できない可能性が高いため、辞退しても契約違反に該当しない場合が多いと考えられます。
 
しかし、拘束関係の度合いによっては「労働契約が成立している」と認識されることもあり得ます。
 
また、内々定は「採用内定の予約」とみなされることもあるため、合理的な理由なく辞退すれば、企業側から損害賠償責任を問われることがあるかもしれません。
 
ただし、日本国憲法第二十二条に「職業選択の自由」が定められていることから、内々定の辞退が契約違反に該当する可能性は低いと考えていいのではないでしょうか。
 

採用内定の辞退により損害賠償責任を求められるケースもある

採用を内定されたことで「労働者と企業の間で労働契約が締結された」と認識できる場合があります。
 
しかし、労働者は労働契約を解約できる旨が法律で定められているため内定を辞退しても契約違反にはならない可能性が高いでしょう。
 
ただし、辞退の状況や理由によっては企業側から損害賠償責任を求められることもあり得ます。
 
内定辞退は企業に迷惑をかけることでもあるため、誠心誠意対応することが大切です。
 

出典

厚生労働省 労働条件に関する総合情報サイト 確かめよう労働条件 Q&A
デジタル庁 e-GOV法令検索
 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二章 契約 第八節 雇用(期間の定めのない雇用 の解約の申入れ)第六百二十七条

 労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第一章 総則(労働契約の原則)第三条
 日本国憲法(昭和二十一年憲法)第三章 国民の権利及び義務 第二十二条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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