更新日: 2024.02.14 働き方

【一括消化】会社をやめることにしましたが、「有給休暇」がたくさん余っています。「一気に」使い切ることはできるのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

【一括消化】会社をやめることにしましたが、「有給休暇」がたくさん余っています。「一気に」使い切ることはできるのでしょうか?
入社してから6ヶ月経過すれば、有給休暇の取得が可能になります。雇用形態に関係なく、有給休暇を取得するのは労働者の権利です。退職を控えているときに消化していない有給休暇が残っていた場合は、どのように扱われるのでしょうか。今回は、余っている有給休暇を退職日までにまとめて使い切ることは可能かどうかを解説します。
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そもそも有給休暇をまとめて取ることは可能なのか?

有給休暇については、労働基準法第四章第三十九条において、「使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。」と定められています。
 
労働者が有給休暇を取得する権利は、正社員やアルバイト、パート労働者といった区分は関係ありません。業種や業態に左右されることもなく、継続勤務年数が6ヶ月を超え、全労働日の8割以上出勤していれば、誰もが有給休暇を付与されます。また、有給休暇の対象者である場合、取得日から一年間の間で5日は取得しなくてはいけません。
 
有給休暇の使い方は労働者の自由です。使用者は、労働者が有給休暇を申請してきた際、その理由についても詮索してはいけないことになっています。
 
「病院に行くときしか使ってはいけない」「有給休暇は基本的に使ってはいけない」などと制限してもいけません。有給休暇を使って旅行するのも労働者の自由です。つまり、何日もまとめて有給休暇を取ることは、法律上、何も問題ありません。
 

会社側が有給休暇取得に意見を言えるケースもある

先述したとおり、有給休暇はまとめて取ることもできます。そのため、余っている有給休暇があれば退職日までに使い切っても問題はありません。
 
ただし、使用者が有給休暇取得に対して意見を言える権利も認められていることも理解しておきましょう。それは「時季変更権」です。時季変更権は、労働者が指定した有給休暇取得日が正常な事業の運営を妨げるときに、使用者が行使できる権利です。
 
例えば、同じ部署の全員が同日に有給休暇を取るなどして業務に支障が出るときなどが該当します。そのような事情があるとき、使用者は有給休暇を他の日に変更することが可能です。単なる繁忙期であるという理由では時季変更権は行使できません。
 

退職前に有給休暇を消化するときの注意点

有給休暇は、付与から2年経過すると消滅します。退職日をいつにするか決めたら、まず消滅が近い有給休暇が残っていないか確認しておきましょう。そして、損をしないように上手に消化しておくことです。
 
労働基準法附則第百三十六条では、「有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」と使用者に義務付けています。そのため、有効な有給休暇が残っていれば、退職日までに消化させるのは使用者の義務でもあります。
 
だからといって、正常な事業の妨げになることがあってはいけません。退職日を決める際は就業規則の規定を守り、業務の引き継ぎに要する期間などにも注意を払うことです。業務内容によっては使用者と事前に相談し、迷惑をかけない日程で取得しておきましょう。
 

退職日まで有給休暇を消化するのは一般的

有給休暇が残っている場合、退職日までに消化するのは珍しいことではありません。むしろ、使用者は労働者に有給休暇を取らせる義務があります。有給休暇の取得は労働者の権利で、使い方は自由です。ただし、使用者には「時季変更権」の行使が可能であることも忘れてはいけません。退職を控えているときは業務の引き継ぎなども考慮して上司と相談しながら取得日を決めるようにしましょう。
 

出典

e-Gov 法令検索 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法 第四章 第三十九条
e-Gov 法令検索 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法 附則 第百三十六条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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