部下が「彼氏に浮気されたので会社を有休で休みたい」と言っていますが、業務が滞るのでNGを出してもいいですか……?

配信日: 2024.03.03 更新日: 2024.10.10

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部下が「彼氏に浮気されたので会社を有休で休みたい」と言っていますが、業務が滞るのでNGを出してもいいですか……?
有給休暇の使い道はさまざまな場面で問題となります。会社側としても、時期や業務の進捗(しんちょく)によっては、労働者に休まれることが苦しい時期もあるでしょう。そこで、部下から「有休で会社を休みたい」と言われたとき、業務の進捗を理由に拒否できるか考えてみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

有給休暇の使用は労働者の権利である

有給休暇を使用して休むことは労働者の権利です。厚生労働省「年次有給休暇のポイント」によると、「定労働時間が30時間以上の労働者、および週所定労働日数が5日以上 又は 1年間の所定労働日数が217日以上の労働者」の場合、有給休暇は採用から6ヶ月経過すると10日付与され、そこから1年経過するごとに所定の日数が付与されていくようです。
 
この有給休暇は、労働者が使用時期を自由に決めることができ、たとえ前日であっても理由のいかんを問わず使用することができます。そのため、原則としてどんな理由であっても、前日までに有給休暇の申請があれば、それを拒否することはできなくなっています。当然、私的な理由であっても、有給休暇の使用を拒否することはできません。
 
そして、有給休暇を理由とした不利益処分は禁止されています。例えば、1日当たりの給与が2万円の人が、私用を理由として休んだ場合で考えてみます。そのとき、「欠勤扱いとして給与2万円の減給」などということはしてはいけません。加えて、皆勤時に5000円の皆勤手当を支給している場合において「欠勤扱いで手当を支給しない」ということも禁止されています。
 

業務が滞る場合、時季変更権を使用できることもある

有給休暇の取得時には使用者に「時季変更権」が認められています。時季変更権とは、「労働者の指定した日付どおりに有給休暇を付与することが、事業の正常な運営を妨げる場合、別の日に付与するよう求めることができる」というものです。
 
とはいえ、厚生労働省「年季有給休暇の付与に数は法律で決まっています」によると、時季変更権は単に「業務多忙だから」という理由では認められない、とされており、簡単には認められるものではないことが分かります。仮に繁忙期であったとしても、できる限り労働者の希望に沿うよう配慮が必要といえるでしょう。
 
もし、正当な理由なく労働者の指定した時期に有給休暇を取得させなかった場合、会社は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
 

有給休暇ではなく通常の欠勤の場合はどうなるか

有給休暇でなく、欠勤扱いであっても「休みたい」と言っている場合はどうでしょうか。この場合でも無理やり出勤させることは好ましくないでしょう。そうすることによって、パワハラといったようなハラスメントに抵触する恐れがあるからです。この場合は、就業規則など会社の規定によって処理していくことになるでしょう。欠勤することは、いわば会社と労働者の間で契約違反があったようなものだからです。
 
そのため、部下にはまず欠勤扱いになることや、就業規則などの内容に従って処理されていくことを説明していくべきでしょう。一般的には欠勤となった場合、その日の分の給与が支払われません。また、欠勤が続くと人事査定に響き昇給や賞与の額などにも影響すること、あまりにそれが続くと最終的に解雇もあり得ることなどを説明していくことが、有効だと考えられるでしょう。
 

まとめ

有給休暇は労働者の権利であり、前日に連絡があれば、たとえ業務が滞る場合であっても拒否することはできませんし、「1日分の給与として2万円の減給」など不利益扱いは禁止されます。また、欠勤扱いとする場合も、従業員から話を聞いた上で就業規則などにのっとり処理するなど、慎重な対応が必要です。
 
もし、部下から休みを希望する連絡が来て、対応に悩んでいるのであれば、法令について確認しつつ、さらに自分の上司へ相談することをおすすめします。
 

出典

厚生労働省
 年次有給休暇のポイント

 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています【リーフレットシリーズ労基法39条】
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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