更新日: 2024.10.10 働き方
「固定残業代」のせいで残業をしても残業代がなかなか出ません。どうすればいいですか?
そこで今回は、固定残業代によって残業代が出ない場合、どのように対応すればいいのかを考えていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
固定残業代の性質
まず、残業代が出ない理由を知るため、固定残業代の性質を確認していきましょう。
厚生労働省によると「『固定残業代』とは、その名称にかかわらず、一定時間分の時間外労働、休日労働および深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金のこと」とされており、実際の残業時間と関係なく、一定時間分の残業代が定額で支給される手当のことをいいます。
例えば、求人票や労働契約書などでは「固定残業代として40時間分の残業代を毎月4万円支給」といったように記載されています。この場合、40時間以下であれば、残業時間が0時間であっても40時間であっても4万円の固定残業代が手当として毎月支給されることになります。
ただし、何時間残業をしても40時間分の残業代しか支給されないというものではなく、超過分に関しては追加支給がなされます。仮に50時間の残業をした場合、40時間を10時間超えるとして残業代1万円が追加支給されるといった具合です。
残業代が出ない場合に考えられるパターン
固定残業代が存在し、かつ残業しても残業代が出ないパターンとして、一つ目は、実際の残業時間が固定残業代の基礎となる残業時間内であることが想定されます。
先に見たように、40時間分の固定残業代が支給されている場合、10時間残業しようが30、40時間残業しようが、別途で残業代の支給はされません。40時間分の残業代4万円が支給されるだけにとどまります。
二つ目は、会社側が固定残業代の運用を間違っている可能性も考えられます。よくあるのは、固定残業代のことを役職手当などのように「基本的に、残業時間に関係なく一律の手当で残業させることができる制度」だと勘違いしている場合です。
それが違法だとは知らず、一定時間を超えた場合の追加支給が不要だと思い込んでいるわけです。固定残業代によって残業代が支給されない場合、考えられるパターンとしては上記の二つになるでしょう。
どう対応すべきか
もし、一つ目のように固定残業代の時間内だったという場合、残業代を増やしたければ、その時間数を超えて残業するほかないでしょう。
二つ目のように会社が固定残業代の運用を誤っている場合は、正しく固定残業代を運用してもらえるよう会社側と話し合って解決することになるでしょう。それでも解決できない場合は、会社の所在地を管轄する労働局へ相談といった対応を考えていくことになります。
しかし、会社の環境や考え方を変えるのは容易ではありませんし、時間や立場の都合上、上記のような対応が難しいという方もいらっしゃるかもしれません。どちらのパターンでも共通する解決方法として、思い切って転職するという手段もあります。
まとめ
固定残業代は、決められた時間内であれば何時間残業しても一律となり、追加の残業代は支給されません。固定残業代をめぐっては、国から注意喚起がなされるほど多くの方が頭を悩ませています。
もしも今、固定残業代についてお悩みでしたら、転職や会社との話し合い、必要に応じて労働局への相談なども検討してみることをおすすめします。
出典
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク 固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。
執筆者:柘植輝
行政書士