親だけ「生活保護」を受けるのは難しい?同居している「両親の介護費用」が家計を圧迫しています…
配信日: 2024.03.22 更新日: 2024.10.10
世帯の全員が生活保護の受給者になるのを避けたい具体例としては「同居している両親の介護費用負担が大きいので生活保護を受けたいが、自分にまで所有できる財産などが制限されるのは困る」というケースなどが考えられます。
本記事では、生活保護から外れる「世帯分離」について、認められるケースとともにご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
生活保護は「世帯ごと」でないと受けられないのか?
生活保護法による保護が実施されるのは「世帯ごと」です。
厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」では、「同一の住居に居住し、生計を一にしている者は、原則として、同一世帯員として認定すること。なお、居住を一にしていない場合であっても、同一世帯として認定することが適当であるときは、同様とすること。」とされています。
家族の一人が季節労働者として他の地域に働きに行っている場合や、子どもが義務教育を受けるために親元から離れて暮らしている場合など、実際には一緒に住んでいなくても「同一世帯」とみなすことが可能なようです。
なお、同資料で「当該要保護者がいわゆる寝たきり老人、重度の心身障害者等で常時の介護又は監視を要するものであるとき」は世帯分離をして差しつかえないという旨を述べています。
世帯分離が認められた場合であっても、別の場所に引っ越したり、住民票を分けたりする必要はないようです。
同居していても親だけ生活保護を受けることは可能?
ならびに、世帯員の中に、「働けるにもかかわらず働こうとしない」など生活保護の要件に満たない者がいても、ほかの世帯員が保護を要する状態にあると判断される場合は、世帯分離が認められる可能性があるとされています。
「同居している両親の介護費用が家計を圧迫している」という理由で金銭的な援助が必要な場合は「真にやむを得ない事情」に該当し、世帯分離を申請できるかもしれません。
世帯分離が認められた場合は、同居していても親だけが生活保護を受けられるようになります。ほかにも、子どもが大学や短大・専門学校などへ進学するにあたって、世帯分離によって世帯保護世帯から外れることが認められるケースもあります。
「世帯分離」となった人が稼いだお金は収入認定される?
世帯分離となった人は生活保護の対象から外れることになるため、自分の生活費は自分で稼ぐ必要があります。生活保護の対象になっている場合は稼いだお金が収入と認定され、支給される保護費から差し引かれます。
しかし、今回のケースのように、世帯分離して両親だけが生活保護を受給している場合は、ご自身が稼いだお金は収入と認定されません。安心して自由に使うことが可能といえるでしょう。
「世帯分離」により親だけ生活保護を受けられる
「同居している両親の介護費用がかかるので生活保護を受けたい」というとき「世帯ごと」ではなく、両親だけが生活保護の対象になることを希望される方もいらっしゃるでしょう。
生活保護法により「やむを得ない事情がある」と判断され「世帯分離」が認められれば、自分は生活保護の対象から外れ、親だけが保護を受けられるようになる可能性があります。
その場合は、自分が稼いだお金は収入認定されないため、自分の生活のために自由に使えるようになるでしょう。
出典
厚生労働省 生活保護法による保護の実施要領について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー