更新日: 2024.03.22 働き方

ミスが多く、注意すると反論する従業員。「即解雇」にはできないのですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

ミスが多く、注意すると反論する従業員。「即解雇」にはできないのですか?
企業において、従業員は事業を維持・成長させるために欠かせない存在です。
 
しかし、中には失敗が多い・勤務態度が悪い従業員がいるケースもあるでしょう。そしてそのような従業員を「解雇できないか」と考えることもあるはずです。
 
本記事ではミスが多く、注意したら反論する従業員を即解雇できるのかについて解説します。
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解雇は「社会の常識と照らし合わせて納得できる理由が必要」と規定されている

労働契約法第十六条には、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と記載されています。
 
つまり、使用者が労働者を解雇するためには、社会の常識と照らし合わせて納得できる理由が必要となるのです。
 
例えば、今回のケースでは「仕事上でのミスが多い」「指摘したら反論してくる」など、労働者に落ち度があるように感じられます。
 
しかし、一度の失敗などで解雇がすぐに認められるケースは多くないようです。実際には、以下のようなさまざまな事情が考慮され、最終的に裁判所で判断されます。
 

・労働者の落ち度によって会社が被った損害の重大性
・労働者の落ち度の程度や行為の内容
・やむを得ない事情があるか
・労働者が故意にやったのか

 
そのため使用者としては、ほかの業務・部署への転換や教育などで改善できないかをまず考えたうえで、対応いく必要があるといえるでしょう。
 

法律で解雇が禁止されている主な例

使用者は、社会の常識と照らし合わせて納得できる理由があれば従業員を解雇できる可能性もありますが、中にはそもそも法律で解雇が禁止されているケースもあります。法律で解雇が禁止されている主な例は表1の通りです。
 
表1

根拠となる法律 解雇が禁止されているケース
労働基準法 ・業務上災害のため療養中の期間とその後の30日間の解雇
・産前産後の休業期間とその後の30日間の解雇
・労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇
労働組合法 ・労働組合の組合員であることなどを理由とする解雇
男女雇用機会均等法 ・労働者の性別を理由とする解雇
・女性労働者が結婚・妊娠・出産・産前産後の休業をしたことなどを理由とする解雇
育児・介護休業法 ・労働者が育児・介護休業などを申し出たこと、又は育児・介護休業などをしたことを理由とする解雇

※厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」を基に筆者作成
 
上記のケースでは解雇が禁止されているため、頭に入れておきましょう。
 

従業員の解雇は慎重に考えましょう

使用者が労働者を解雇するためには、労働契約法第十六条の定めにより、社会の常識と照らし合わせて納得できる理由が必要となります。
 
そのため、感情のみで解雇に踏み切るのではなく、客観的な視点で状況を判断し、慎重に事を進めていかなければなりません。判断に迷った場合は専門家に相談し、第三者の目線から適切な対処を聞くのもよいかもしれません。
 

出典

e-Gov法令検索 平成十九年法律第百二十八号 労働契約法 第十六条
厚生労働省 労働契約の終了に関するルール 1 解雇
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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