雇用保険を受給中ですが、「満額」受け取るために、転職時期を遅らせるべきでしょうか…?

配信日: 2024.04.08 更新日: 2024.10.10

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雇用保険を受給中ですが、「満額」受け取るために、転職時期を遅らせるべきでしょうか…?
転職活動中に、雇用保険を受けて生活を維持するということは、珍しいことではありません。しかし、中には転職時期を遅らせてでも、雇用保険をより長く受け取りたいと考える方もいるようです。実際、雇用保険は転職を遅らせてでも受けつづける方がよいのでしょうか。考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

雇用保険はどれくらい受け取れる?

「雇用保険を受給する」とは、一般的に、雇用保険の基本手当を受け取ることをいいます。
 
雇用保険の基本手当とは、失業者の生活を安定させるとともに、失業者が1日も早く就職できるようにすることを目的に、給付されるものです。基本手当は原則、離職日以前の2年間に12ヶ月以上雇用保険に加入しているなど、一定の条件を満たすことが必要になります。
 
とはいえ、難しいものではなく、過去2年間に12ヶ月以上、正社員やアルバイトなどで雇用保険に加入して働いていれば、受給できる可能性が高いです。
 
なお、雇用保険の基本手当は、雇用保険に加入していた期間や離職理由によっても異なりますが、最低90日、最高で360日間受給することができます。
 
基本手当によって支給される金額は、おおむね毎月の給与に比例します。参考までに厚生労働省によると、平均月収20万円の方であれば支給額は13万5000円、平均月収30万円の方は16万5000円が目安になります。
 

再就職手当の存在

雇用保険の基本手当は、失業状態にある方に支給されるものです。そのため、転職活動中から計画を立て、基本手当の受給中に次の仕事が決まるよう図っていても、次の就職先で給与を受けながら雇用保険を受け取ることはできません。
 
とはいえ雇用保険の「再就職手当」というものを前提に考えると、雇用保険の基本手当を受給できるとしても、基本手当のためにあえて転職時期を遅らせる必要はないでしょう。
 
この再就職手当とは、雇用保険を受給する権利を有する方が一定日数以上その権利を残した状態で再就職すると、基本手当の残余期間に応じた代替手当が受け取れる、というものです。
 
再就職手当の額は、基本手当の受給期間を3分の2以上残して就職が決まった場合に、最大で支給残余日数分の基本手当の70%が受け取れます。極端な例ですが、仮に1日当たり6000円の基本手当を90日間支給される方が、80日分残して再就職した場合、再就職手当の額は33万6000円になります。
 
なお参考までに、残り80日間も基本手当を受け取りつづけた場合、その支給額は48万円となります。
 

キャリア面も重要

雇用保険の基本手当の受給方法を考えるに当たっては、キャリアを考えることも重要です。なぜなら、雇用保険の基本手当を受け取っている間は無職となるからです。普段の給与のおおむね6割前後となる額の手当を、働かずに得られる代わりに、その間はキャリアが止まってしまいます。
 
その点を考えると、転職時期を無理に遅らせてまで、雇用保険の基本手当を受け取るべきではないでしょう。長い目で見れば、キャリアを充実させて収入アップを狙っていく方が、プラスになるはずです。
 

まとめ

雇用保険の基本手当は失業している間しか受け取れず、長く受け取ろうとすれば自身のキャリアに影響する可能性があります。
 
一方、雇用保険には再就職手当もあり、早期に就職を決めても、その分は別の手当を受け取ることができます。
 
もし転職活動を行っているのであれば、雇用保険の基本手当を目的として無理に転職時期を遅らせるのではなく、キャリアを考え早期に就職を決め、再就職手当を受け取る方向にシフトすることをおすすめします。
 

出典

ハローワークインターネットサービス 基本手当について
ハローワークインターネットサービス 再就職手当のご案内
ハローワークインターネットサービス 就職促進給付
厚生労働省 Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~ 「Q10 雇用保険(基本手当)の受給できる額は、例えば1か月でどの程度もらえるのか、だいたいの金額を教えてください。」
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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