更新日: 2024.04.18 働き方

資格講座はお金がかかりますよね? キャリアアップや転職に役立つか分からないので、お金を使うべきか悩んでいます

執筆者 : 柴沼直美

資格講座はお金がかかりますよね? キャリアアップや転職に役立つか分からないので、お金を使うべきか悩んでいます
自分の労働市場価値を上げるために、資格取得を検討する人は多いでしょう。
 
面接に進むための前提となるものや業務に絶対必要なものだけでなく、企業によっては資格取得報奨金という一時金を支給したり、手当という名前で給与に加算されたりするケースもありますが、そうでない場合もあります。
 
資格=キャリアアップ・転職なのか見極めたいところです。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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資格取得の動機・目的によって「多額の出費」で終わるケースもある

職場で業務上どうしても必要になる場合は、企業が費用を負担してくれることが多く、取り立てて疑問も持たず「当然やるべき」と思って取り組むかもしれません。
 
そうでない場合、つまり自分自身で「資格取得」が頭にチラつくのは、今の仕事に将来的な不安や不満があって、「新しいことをしたい!」「転職したい!」「年収を上げたい!」などという思いが膨らんだときではないでしょうか。
 
自分で資格取得を考えていざ取り組む場合には、趣味と割り切っているのでなければ、長期的な収支を見極めてかからないと挫折しやすくなります。
 
そうなると、まとまった費用を出費しただけで終わってしまったり、仮に合格して資格を取得しても生かすことができなかったりして「高額な買い物」をしたのではないかという後悔が残ることになりかねません。
 

資格取得と合格後の会費

ある知人は、メーカーで営業の仕事をしていましたが、育児休業を取りづらい環境に身を置くなかで「現状を打破したい」という思いから、一念発起して社会保険労務士の資格取得を始めました。直接、業務とは関係ないことから職場で金銭的な補助を得られるわけはなく、すべて自己負担で2年間かかって合格したそうです。
 
仕事を続けながらだったので、予備校でのオンライン講座を20万円で受講し、その他模擬試験や対面での直前対策も含めると、合格までにかかった費用は約25万円。受験料や合格後の実務研修(実務経験がない人が対象で令和5年は7万7000円)などもろもろ含めるとかなりの出費になったそうです。
 
晴れて社会保険労務士として名乗ることができたとしても、その後登録するために初回登録免許税(3万円)や、入会金・年会費(開業か勤務かによって変わります)を払い続けなければ、報酬を得て社会保険労務士としての業務を行うことはできません(これはあくまで一例として挙げたにすぎません。決して、社会保険労務士の資格取得そのものを否定しているわけではありません)。
 
これだけの費用をかけても、知人は「40代までずっとやってきた営業職から社会保険労務士へのキャリアチェンジが果たしてうまくいくのか?」という不安を拭えませんでした。
 
そして、社会保険労務士として再出発することを諦め、「難関資格に合格した努力家として履歴書に書き添えた程度」として転職は果たしたものの、「直接的に社会保険労務士の資格を活用することはいまだになく、おそらく今後も使わないだろう」といっています。
 
他の資格であっても、取得した資格をそのまま使わないでいれば、合格時の知識はあっという間に陳腐化してしまいます。そのため、資格取得者として報酬を得て活動していきたければ、継続的にワークショップに参加するといった条件を提示しているケースは以前より増えているように思います。
 
研修費用に年会費を足し合わせると、「取得した資格で黒字にする」には顧客にアピールするなどのコストをかける必要があり、「資格取得≠収入アップ」と考えておくべきでしょう。
 

自分の職務経験の延長線上にある資格がベスト

このように考えていくと、「自分のこれまでの職務経験が生かせる」よりパワーアップできるもの、関連性のあるもの、そのマーケットの状況が理解できるもの、すでにコネクションがあるもの、といった分野での資格取得がベストでしょう。
 
確かに、「本当は、この仕事ではなく、カラーコーディネーターとしてやっていきたかった」など、希望の仕事に対し思うところはあるでしょう。趣味の範囲で楽しんでいくべきか、それとも実益のために取得するのか、を見極めることが重要かもしれません。
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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