更新日: 2024.04.24 働き方

上司から嫌味を言われるのですが、本人は「イジリ」だと思っているようです。どこからが「パワハラ」になるのでしょうか。また、慰謝料は請求できますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

上司から嫌味を言われるのですが、本人は「イジリ」だと思っているようです。どこからが「パワハラ」になるのでしょうか。また、慰謝料は請求できますか?
今やパワハラ、セクハラ、マタハラなど様々なハラスメントが顕在化し、精神的苦痛を訴え出ることも珍しくない時代になりました。しかし、なかにはどこからがハラスメントに該当するのかを判断できず、我慢しながらモヤモヤする日々を送っている方もいるのではないでしょうか。
 
今回は、どこからがパワハラに該当するのか、パワハラの定義を見ていきましょう。そして、慰謝料の請求の有無、パワハラの対処法についても紹介します。仕事でミスをするたびに怒鳴られてしまい、出勤自体がつらいと思っている方はぜひ読んでみてください。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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どこからがパワハラ?パワハラの定義

厚生労働省によると、以下の3つの要素をすべて満たすものを職場におけるパワハラの概念としています。

●職場の地位や人間関係などを背景に、行為者に対して抵抗や拒絶が難しいと思われる関係で行われること
●業務の適正な範囲を超越して行われること
●身体的もしくは精神的な苦痛を負わせること、または職場環境を害すること

厚生労働省は、職場のパワハラについて挙げられたいくつかの典型的な例から、6つの行為分類型を発表しています。身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害です。
 
「身体的な攻撃」は、殴る、叩く、蹴るなどの直接的な暴力や、物を投げてくるなどの行為です。怪我の有無は関係なく、相手を恐喝し従わせようとしている時点でパワハラ行為に当てはまります。
 
「精神的な攻撃」は、業務に全く関係ない内容の暴言を吐いて、人格を否定するなどの行為です。
 
「人間関係からの切り離し」は、嫌がらせ目的で仕事から外したり、別室に隔離したりするなど、業務の流れを阻害する行為です。
 
「過大な要求」は、見せしめや罰として現状のスキルを超えた業務を押し付けたりする行為です。
 
「過小な要求」は、現状のスキルに見合わない単純作業や、業務に関係ない懲罰的な仕事を与えるといった行為です。
 
「個の侵害」は、プライベートに立ち入って管理しようとしたり、不適切な発言をしてプライバシーを侵害したりする行為です。
 

慰謝料は請求できる?

パワハラ被害に遭っていて慰謝料を請求したいと考えている場合、弁護士に相談することをおすすめします。ですが、パワハラでの慰謝料請求はあくまでも最終手段だと思うようにしましょう。パワハラによって精神疾患を患って退職に追い込まれている場合を除いて、金銭的な損害が出ていない場合に慰謝料を請求するとかえって負担が大きくなる可能性があります。
 
弁護士に対して払う依頼費用はハラスメント事案によって異なりますが、相場は50〜100万円といわれており、慰謝料の請求額の相場も50〜100万円で、金銭面でメリットが低いこともあります。慰謝料を請求するためにパワハラ加害者との交渉は不可欠であり、解決するまでの長い間精神的な負担がかかることになります。
 
また、パワハラ被害の訴訟は長期間の記録が証拠として効果的ですが、証拠を集めるために、つらい思いをしながら出勤しなければいけないこともあります。そのため、慰謝料を請求したい方は、精神面に負担がかかることを承知の上で戦うことになります。気を強く持つためには、家族や友人の理解と支えがあるとよいでしょう。
 

パワハラから逃げ出してもいい!

パワハラによる精神的苦痛は、うつ病などの精神疾患、場合によっては過労死や過労自殺の原因に繋がります。次の職場が決まるまでやめることはできないと、我慢しながら日々を送る方もいますが、気づかぬうちに心身はボロボロになってしまいます。ボロボロになった心身は完全に戻らないこともあるので、早期脱出が必要でしょう。
 

まとめ

上司の言動がパワハラに該当するのであれば慰謝料を貰うことはできますが、慰謝料を貰うまでの道のりは安易におすすめできるものではありません。
 
そもそも、会社をやめることを後ろめたく思う必要はありません。人間は何かを始めるときに勇気が必要ですが、やめるときにも同様に勇気が必要です。しかし、自分の意志でやめることは、これからの人生で大きな自信に繋がるはずです。
 
自分の身を最後まで守れるのは自分しかいません。自分を守るために会社をやめることも、解決策の一つとして考えてみてはいかかでしょうか。
 

出典

厚生労働省 パワーハラスメントの定義について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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